今回は英語学習を効率良くマスターするために学びたいフォノロジカル・アウェアネス(フォネミック・アウェアネス)に関してお伝えいたします。
フォニックスが英語習得において大切なのは日本でも浸透していますが、フォノロジカル・アウェアネスはまだあまり馴染みのない言葉だと思います。
ですが、フォノロジカル・アウェアネスはアメリカやイギリスでも基礎の基礎として教えられていて、効果をあげている学習法です。
この記事を読めば英語学習のポイントがわかりますのでぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
この記事でお伝えすること
- フォノロジカル・アウェアネスとは何か?
- フォノロジカル・アウェアネスはなぜ大切か?
- マスターするにはどうしたらよいか?
アルファベットの音素を学ぶフォニックス
フォノロジカル・アウェアネスに関して説明する前に、フォニックスについて知っておくと、フォノロジカル・アウェアネスに関して理解しやすいと思います。
フォニックスはアルファベットとそれに対応する音素を学習する学習法です。
フォニックスの中でも、ジョリー・フォニックスは、いろいろな感覚(聴覚、視覚、動作、触覚)を用いて学ぶため記憶に残りやすく、またその子にあった感覚で取り入れることができます。
下記の動画は、ジョリー・フォニックス&ジョリーグラマートレナーの第一人者である山下桂世子先生の授業の一部です。
とってもわかりやすく、お子さんがすすんで勉強したくなるような工夫が散りばめられています。
フォノロジカル・アウェアネス(phonological awareness = 音韻認識)とは?
フォノロジカル・アウェアネスは、話し言葉の音、単語、音節を聞き取るために重要なスキルです。
フォノロジカル・アウェアネスの基礎がしっかりとあると、各音素を結合させて単語を書くことができるようになります。
また、新しい単語でも発音するスキルや、音声から文字を思い描くスキル、単語をスペリングするスキルが育ちます。
フォノロジカル・アウェアネスはアメリカにてディスレクシア(読み字障害)の子にしっかりと教えるように推奨されている学習法でもあります。
ですが、フォノロジカル・アウェアネスは、発達障害の子だけでなく、英語の習得を目指す全ての人にとって、とても大切なものなのです。
フォノロジカル・アウェアネスは、音韻を認識することです。
「音韻」という言葉を辞書で調べると、「音の響き、ねいろ。言語音」と載っていますね。
つまりフォノロジカル・アウェアネスは包括的にいうと、「言語音を認識する力をつける」ということになりますね。
フォノロジカル・アウェアネスの主な効果
話し言葉から単語やシラブルを認識できるようになる
新しい単語に出会った時に、単語を正しく発音できるようになる
音素を結合させて単語を書くことができるようになる
ライティングで単語を正しく書く力を高める
フォニックスでアルファベットと音素の基礎を学んだだけでは身についたといえません。
フォニックスで学んだ音素をしっかりと聞き取れる能力や、音素から単語を書く力を育てるのが、フォノロジカル・アウェアネスです。
フォノロジカル・アウェアネスの4つの認識レベル
フォノロジカル・アウェアネスは、以下の4つの認識レベルに分けることができます。
フォノロジカル・アウェアネス 1|ワード・アウェアネス(単語認識)
ワード・アウェアネスは、文は個々の単語により構成されていることを認識することです。
文にいくつ単語があるのかということを認識することにより音韻認識力を高めることが出来ます。
フォノロジカル・アウェアネス 2| シラブル・アウェアネス(音節認識)
シラブル・アウェアネスは、単語の音節を認識することです。
このシラブルは英語を学ぶうえで大切ですので、あとで詳しく説明します。
フォノロジカル・アウェアネス 3| オンセット-ライム・アウェアネス (母音の前と後の音の認識)
シラブル(1音節)は通常オンセットとライムに分けることができます。
シラブルの始まりの子音や子音のかたまりを「オンセット」といい、残りの母音を含むあとの音を「ライム」といいます。
たとえば、”pet”という単語は、母音’e’の前にある’p’がオンセット、そして’et’をライムといいます。
オンセット-ライムで、共通の特徴を持つワード・ファミリーを学ぶことにより、共通の音声を認識することができ、正しい単語を書く基礎力をつけることができます。
それに単語を関連づけて覚えることが出来るようになるので英語学習の効率があがりますね。
ワード・ファミリーとは?
ワード・ファミリーとは、共通の特徴を持つ単語のことです。
例えば、“cat, hat, sat, mat” という単語は、“at”という同じ音と文字を持つワード・ファミリーです。
共通の音と文字を持つワード・ファミリーを認識する力は、単語を聞いて、正しくつづる力をつけるための基礎力となります。
フォノロジカル・アウェアネス 4| フォネミック・アウェアネス(音素認識)
フォネミック・アウェアネスは、「音素認識」という意味で、単語の最小単位である、”音素”を認識することです。
フォネミック・アウェアネスでは、単語の個々の音(音素)にフォーカスをおき、個々の音を結合したり、分割したりします。
それにより、単語は音素により構成されていているということを認識することができ、音節の認識力を養うことができます。
音素に関しては、下記の表をご覧ください。
フォノロジカル・アウェアネスは初期の英語学習においてなぜ大切か
英語は日本語のように発音と文字が一致していません。
そのため、英語圏ではディスレクシア(読み字障害)の割合が多く、全体の15%になるといわれています。
英語を母国語としている子は推定で、早くて3,4歳になると、音素を認識し、ライミングやアリタレーションをおこなうようになるそうです。
反対に、ライミングやアリタレーションをおこなわない子は、ディスレクシアの可能性が考えられます。
そんなディスレクシアの子どもに、障害を克服するために効果を発揮しているのが、フォノロジカル・アウェアネスです。
日本人にとって日本語とは全く音の違う英語の単語は、読むのが難しいですよね。
そのため日本人は、英語に関しては、誰しも最初は英語圏のディスレクシアの子と近いものがあるのではないでしょうか。
そのため、ディスレクシアに対して効果がある学習法で教わることは日本人にとって効果的であるはずです。
また、フォネミック・アウェアネスの基礎がしっかりある子は、将来、長文の読解力がつきやすく、反対にこの基礎がない子は、読解力がない子になると言われています。
アメリカでは、読解力に問題のある子のうち90パーセント以上の子に、 フォノロジカル・アウェアネスの基礎がないことも指摘されています。
そのため、フォノロジカル・アウェアネスを学べば、将来のリーディングの能力も向上させることが期待できます。
そして何より、フォノロジカル・アウェアネスは楽しく学べるので、楽しく英語力をつけていくことができます。
参考:Dyslexia Help Success starts here
参考:Read Naturally
シラブル(音節)とは?
フォノロジカル・アウェアネスの4つの認識レベルの1つである、シラブルに関してお伝えします。
シラブルについては下記の2つの動画でとても分かりやすく説明されています。
シラブル(音節)の概要
日本語は、子音のあとに母音をつけて発音する言語ですので、この子音のかたまり(consonant cluster) という発音はとても聞き取りにくいし、言いにくいです。
日本語しかしらなければ、‘problem’ なら、‘pu・ro・bu・le・mu’ と、5カウントで発音してしまいます。
ですが、シラブルを意識して、2カウントで‘prob・lem’と発音するようにすると、だいぶ英語らしい発音に近づくことができます。
ライミングとは?アリタレーションとは?
ライミングとは、韻をふんでいる単語を繰り返し言うことです。
ライミングは、“bed, bread, sled” などの同じ音で終わっている単語を繰り返し言ったり、韻を踏んでいる歌を歌うことで学べます。
英語で韻を踏むことはラップなどでもおなじみですね。
アリタレーションは、単語の最初が同じ音で始まっている単語をフレーズや文章にして言うことです。
大切なのは音であり、スペルが違っていても、音が同じであればOKです。
ライミングやアリタレーションは文章などにスパイスを加えるときに使われます。
ライミングやアリタレーションはフォノロジカル・アウェアネスの学習法には含まれていません。 ですが、英語学習として取り入れれば、しりとりとはちょっと違いますが、でもそんな感覚で楽しく英語を学べますね。
アメリカではフォノロジカル・アウェアネスをどのように教えているのか?
フォノロジカル・アウェアネスの学習は、英語を学ぶうえで大切なのはなんとなくわかっていただけたと思います。
では、アメリカの子どもたちはどのようにして、フォノロジカル・アウェアネスを学習しているのでしょうか。
下記の表はフォノロジカル・アウェアネスの学習法の一例です。
このフォノロジカル・アウェアネスの中でも、特にリーディングとスペリングの上達に関係しているのが、表中で*がついている、フォネミック・アウェアネスのブレンディング (結合)とセグメンテーション (分割)です。
そのため、上記の学習法では、しっかりとすべてが学べるようにしながらも、できるだけ早くにフォネミック・アウェアネスのブレンディング (結合) とセグメンテーション (分割) の学習へと移行できるようにすることが目標となります。
単語を1つずつ区切って音素で発音することに何の意味があるのかと思うかもしれません。
ですが、音素をしっかりと認識することによって、音節の認識力を高めることができるのです。
フォニックスとフォノロジカル・アウェアネスを楽しく学べる教材
ここでは、フォニックスとフォノロジカル・アウェアネスを楽しく学べる教材をご紹介させていただきます。
特にフォネミック・アウェアネスは、毎日10分学習するだけで大きな効果を発揮するといわれていますので、お子さんの毎日の学習に取り入れていけば、いつの間にか英語が身についていたなんてこともあるかもしれませんね。
「ジョリー・フォニックス」
ジョリー・フォニックスはフォニックスを学ぶのにとてもすぐれた教材です。
ジョリー・フォニックスは、この記事の前半「アルファベットの音素を学ぶフォニックス」の章での動画、『ジョリー・フォニックス「s」の授業』でも取り上げさせていただいています。
ジョリー・フォニックスでは、英語のアルファベットとそれに対応する音素をいろいろな感覚(聴覚、視覚、動作、触覚)を用いて学ぶため記憶に残りやすく、またその子にあった感覚で取り入れることができます。
そして、そのあとブレンディングとセグメンテーションで学んだ内容を定着させます。
ジョリー ・ フォニックスを書籍化している「はじめてのジョリー・フォニックス」は「ティーチャーズブック」と「ステューデントブック」のセットで使用します。
はじめてのジョリー・フォニックスーティーチャーズブック | 価格3,850円 |
はじめてのジョリー・フォニックスーステューデントブック | 価格1,100円 |
「twinkl」
「twinkl 」ではフォノロジカル・アウェアネスを学習するためのさまざまな教材を提供しています。
海外のサイトですが、日本語専用のページも用意されています。
アカウントを作成すれば会員になれる無料会員と、月額880円~の有料会員があります。
無料会員は、フリーでダウンロードできる教材を利用できます。また、毎週メルマガとともに1個の教材が無料でプレゼントされます。
有料会員は、80万種類以上の教材を無制限で使用できます。
絵もかわいくて楽しく英語を学べるよういろいろな工夫がされている教材です。
「あいうえおフォニックス」
フォノロジカル・アウェアネスの説明を読んでいただいて、フォノロジカル・アウェアネスが大切なのはわかるけど、学習するのは大変そうと思ったかたもいるかもしれません。
確かにフォノロジカル・アウェアネスはお子さんが毎日少しずつ楽しく学んでいくには良い勉強法です。
ですが、大人の方でそこまで本格的に英語を学ばなくても、なんとなく話せるようになればいいと思うかたもいらっしゃると思います。
そんな方におススメしたいのが、フォニックスをもっと気軽に学べる「あいうえおフォニックス」です。
「あいうえおフォニックス」では、英語の発音を、日本語の「あいうえお」を基本にして説明しています。
例えば、英語で「あ」の発音はたくさんあるけれど、明るい「あ」と暗い「あ」で発音すればOKと教えてくれています。
日本語を基本にして教えているので、とても学びやすいです。
フォノロジカル・アウェアネス に関してはあまり学ぶことはできませんが、フォニックスを学ぶだけでも英語力を向上させ、英語をもっと身近に感じることができますのでおススメです。
「あいうえおフォニックス」 のYouTubeの内容を本にまとめた書籍も販売されています。
あいうえおフォニックス 英語の母音をひらがな5つで完全攻略! | 価格1,760円 |
あいうえおフォニックス 2 英語の[子音]編 日本人が苦手な発音を徹底攻略! | 価格1,760円 |
歌とダンスで英語を楽しく学ぼう!動画のご紹介
下記の動画では、歌とダンスで楽しく学ぶことができます。
同じ言葉を繰り返し歌っている箇所が多いので、わかる箇所だけでも歌ってダンスしてみても良いと思います。
下記の動画は英語の童謡で一緒に歌うのは難しいですが、「きらきらぼし」や「幸せなら手をたたこう」など、日本でもおなじみの歌もあるのでよかったらトライしてみてくださいね。
まとめ
フォノロジカル・アウェアネスは英語の基礎の基礎を学ぶものですが、これがしっかりしていれば将来の英語学習の効率があがりますので、ぜひ取り入れて欲しいと思います。
また、大人の方でも今の学習と並行してフォノロジカル・アウェアネスも取り入れていっていただければ、英語を楽しく学びながら向上を目指せます。
今回の記事が英語を学習している方たちのお役に立てましたら幸いです。