噛む力加減を教えるしつけは、アメリカでは噛みグセを直すしつけの1つとして教えられていて、子犬期のトレーニングとして重要視されています。
犬はどのくらいの力で噛むと痛いのかということは教えないとわかりません。
そのため、このトレーニングをおこなわなかった犬は、恐怖や痛みを感じてとっさに人間を噛んでしまった時に、人間を傷つけるほどの強い力で噛む可能性があります。
ですが、このトレーニングをおこなった犬は、とっさに人間を噛んでしまったとしても甘噛みするだけで強い力で噛むことはありません。
日本ではあまりなじみのないトレーニングですが、非常に簡単にできるのでぜひ本記事を参考にしてトレーニングをおこなってくださいね。
子犬期に噛む力の加減を教えることはなぜ大切なの?
子犬は噛む力加減を兄弟犬やまわりにいる成犬と遊びながら学んでいきます。
たとえば、子犬は兄弟犬とお互いの身体を噛みあいながら遊びます。
そして遊んでいる途中で強く噛まれると、その子犬は鳴き声をあげて「痛い」ということを伝えその場から離れていきます。
噛んだ子犬はその経験により強く噛んでしまったことを知り、今度は楽しく遊び続けられるように噛む力をコントロールすることを学んでいきます。
また、まわりにいる成犬を噛んで遊び叱られることで、どれくらいで噛むと痛いのかを知ります。
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このような過程を通して子犬は中断することなく遊べるように、そして相手を傷つけないように、噛む強さをコントロールすることを学んでいくのです。
ですが母犬や兄弟犬と別れて人間社会に連れてこられた子犬は、犬社会で学ぶべきこの過程を学ぶことができません。
そのため、犬はどのくらいの力で噛むと相手が痛いのかということは飼い主さんが教えない限り分からないのです。
噛む力の加減を教えないとどうなるの?
噛む力の加減を教えないと、突然の出来事で驚いたり、怒ったりしたときに、相手を傷つけてしまうほどの強い力で噛んでしまう可能性が高くなります。
ですが、子犬期に噛む力加減を教えられた犬は、成犬になってからも突然の出来事が起きても強い力で噛むことはありません。
例えば、家の中を走り回っている子どもが寝ている犬のしっぽをあやまって踏んでしまい、犬がビックリして子ども噛んでしまったという状況が起きたとします。
そんなハプニング時でも、噛む力加減のトレーニングを受けた犬は甘噛み程度で噛むだけで、子どもが傷つくほどの強い力で噛むことはありません。
反対に噛む力加減のトレーニングを受けていない犬は、子どもを傷つけるほどの強い力で噛んでしまう可能性があります。
噛む力加減を教えるしつけはいつからするとよいの?
噛む力加減を教えるしつけを開始するのは早ければ早いほど良いです。
噛む力加減を学ぶ能力は生後6ヶ月を過ぎると衰えるといわれています。
そして、噛む力加減を教えることは成犬になると難しくなるといわれています。
そのため、子犬が飼い主さんを噛んでくるようであれば早速これからご紹介するしつけをおこないましょう。
また、噛む力加減を教えるしつけは、他の噛みグセを直すしつけをおこなっているときに同時におこなうことができます。
他の噛みグセを直すしつけでは、犬に噛んでも良いものと悪いものを教えていきます。
他の噛みグセを直すしつけは通常生後10週~12週目に開始し、子犬に噛んでも良いものと悪いものを教えていきます。
噛んでも良いものと悪いものを教えるしつけをしていて、子犬が飼い主さんを噛んでしまったとき、今回こちらで解説している噛む力加減を教えるしつけをすれば、1回のしつけで2つを教えることができます。
下記の記事では、噛んでも良いものと悪いものを教えるしつけ方法をご紹介していますのでぜひご覧ください。
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噛む力加減を教える方法
このトレーニングでは、子犬が兄弟犬と遊びながら噛む強さを学んでいく方法を真似して、効率的に子犬に噛む強さを教えていきます。
子犬が飼い主さんを噛んできたときにおこなってもよいですし、おもちゃで遊びながらおこなってもよいです。
この記事では子犬が飼い主さんを噛んできたときにしつける方法と、おもちゃで遊びながらしつける方法の両方を説明いたします。
🐥飼い主さんを噛んできたときに噛む力加減を教える方法
step
1子犬が飼い主さんを噛んだら子犬がビックリするくらいの声で「痛い!」と鋭くはっきりと言います。
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step
2噛まれた箇所はそのままその場から動かさずに力を抜きだらんとさせます。
噛まれたため犬の口から離そうと素早く動かす動作は、犬の狩猟本能を刺激してしまい、さらに追いかけようとしてきます。そのため、噛まれても動かさずにその場でだらんとさせます。
step
3子犬が噛み続けるようなら「痛い!」と大きな声でいい続けます。
「痛い!」といっても子犬がまだ噛み続ける場合は子犬が気づくように顔を近くに寄せ「痛い」と何回か行ってみましょう。
それでも子犬が手を離さずに噛み続ける場合は、下記「痛い!といっても噛み続ける場合」の工程をおこないます。
step
4子犬がたじろいで噛むのをやめたら大いにほめてあげます。
step
5子犬が噛むたびにこの工程を繰り返します。
次回は前回よりも少し弱めの力で噛んでも「痛い!」といって手を動かなくします。そうして少しずつ噛む力が弱くなるようにトレーニングを繰り返しおこなっていきます。
🐥おもちゃを使用して噛む力加減を教える方法
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1子犬とおもちゃで遊びます。
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2子犬が飼い主さんを噛むまでそのまま一緒に遊び続けます。
甘噛み程度ならそのまま遊び続けます。
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3子犬が飼い主さんの手を噛んだら子犬がビックリするくらいの声で「痛い!」と鋭くはっきりと言います。
step
4噛まれた手はそのままその場から動かさずに力を抜きだらんとさせます。
噛まれたため手を口から離そうと素早く動かす動作は犬の狩猟本能を刺激してしまい、さらに追いかけようとしてきます。そのため、噛まれても手は引かずにだらんとさせて動かさないようにします。
step
5子犬が噛み続けるようなら、「痛い!」と大きな声でいい続けます。
「痛い!」といっても子犬がまだ噛み続ける場合は子犬が気づくように顔を近くに寄せ「痛い」と何回か行ってみましょう。
それでも子犬が手を離さずに噛み続ける場合は、下記「痛い!といっても噛み続ける場合」の工程をおこないます。
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6子犬がたじろいで手を離したら大いにほめてあげます。
step
7引き続き一緒に遊んであげます。
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8子犬が噛むたびにこの工程を繰り返します。
😭「痛い!」といっても噛み続ける場合
子犬が興奮していて「痛い!」といっても動作を止めることなく噛み続けるようなら次の工程をおこないます。
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1その場を離れて無視する態度をとります。
もし子犬がついてきてズボンや足首などを噛む場合は、別の部屋に行きドアを閉めます。
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230~60 秒ほど待ち子犬のところに戻ります。
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3「痛い!」という前にしていた動作を再開します。
子犬と一緒におもちゃで遊んでいた場合は遊びを再開します。
その他の動作をしていたときはその動作を再開します。
このトレーニングで大切なのは噛んだら遊びは中断され、楽しい時間はおしまいになるということを教えることです。
それにより、子犬は飼い主さんと楽しく遊べるように噛む力を加減することを学んでいきます。
まとめ
噛む力加減のしつけができたら、次は下記の記事を参考にして噛んでも良いものと悪いものを教えるしつけをおこなっていきましょう。
この記事でお伝えする方法をおこなえば、子犬が噛んではいけないもの (人間や人間のもの) を噛んでいることをすぐにやめさせて、噛んでも良いものと悪いものの区別を教えていくことができます。
子犬の噛みグセを直していくことができるのでぜひ参考にしてくださいね。
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参考 : Puppy Biting? Learn Bite Inhibition Training! | Simpawtico Dog Training
参考 : Bite Inhibition Training: How to Train Your Dog Not to Bite | Your Dog Advisor