現在のところ、アメリカでは獣医用の医薬品として認可されたCBDオイルはありません。
それでも2018年の獣医師に対する調査では、55% の獣医師がCBD商品の使用に関して毎週、あるいは毎月、飼い主さんから質問を受けていると答えています。
そして、飼い主さんがCBDオイルを購入するのは主に、ペットの炎症、慢性の痛み、そして不安障害に対処するためと答えています。
このことからもCBDの治療効果への関心が高くなってきていることがうかがえます。
CBDオイルは犬のアトピーや関節炎、そしてがんなどに対して高い効果を発揮することがこれまでの研究により示されています。
そして、CBDは長期的に使用しても従来の薬のような副作用はほとんどなく安全に使用できることも示されています。
この記事ではCBDの犬への効果を調べるためにおこなわれた、これまでの研究結果をお伝えいたします。
その他に、CBDオイルの効果を最大限にいかす与え方や服用量、気になる副作用などについてもお伝えいたします。
1. CBDとは?
CBD (カンナビジオール) は大麻草から抽出される毒性のない成分です。
大麻草というと麻薬というイメージがあると思いますが、同じ大麻草でも抽出される成分により違いがあります。
大麻草で強い精神作用を引き起こす成分はTHC (テトラヒドロカンナビジオール) という成分です。
CBD は THC のような精神作用を引き起こすことはなく安全に使用できます。
WHO (世界保健機関) は、CBDは中毒などの害を与える危険はなく安全に使用できると述べています。
これまでの研究や事例からCBDは下記のような症状に効果があることが示されています。
CBDの効果
- 不安症
- うつ
- 不眠
- ダイエット
- 慢性痛
- アトピー
- ガン
- 認知症
- てんかん
このほかにもCBDオイルの有効性は多岐にわたります。
2. 犬へのCBDオイルの効果
犬においてもCBDの効果は広く研究されています。
現在まで研究により示されている犬へのCBDの効能は下記のようなものがあります。
😸犬へのCBDオイルの効果
1️⃣ アトピー症状の軽減
2️⃣ ストレスの軽減
3️⃣ 関節炎 (変形性関節症) の緩和
4️⃣ がんの抑制
5️⃣てんかんの抑制
各症状に対しておこなわれた研究に関して詳しくみていきましょう。
2-1. 犬のCBDの効果1 | アトピー症状を軽減
犬のアトピー性皮膚炎は多くの犬にみられる疾患で、約10~15% の犬が患っているといわれています。
一度発症すると完治させることが非常に難しく、犬のQOL (quality of life / 生活の質)を大幅に低下させる疾患です。
薬の投与で症状は軽くなりますが、薬はその時のかゆい症状を抑えるだけのもので、完治させることはできません。
また犬のアトピーに一般的に使用されているステロイドやアポキルは、副作用があるため長期で使用すべきではありません。
若い犬であれば減感作療法でアトピーを治療する方法もあります。
減感作療法の成功率は60~70%といわれていて、成功すればアトピーを完治させることが可能です。
しかし、治療費が比較的高額で完治しないリスクもあることを承知しないとなりません。
最近では再生医療も新たにアトピーの治療として登場していますが、やはりこちらも治療費は安くありません。
私もタロウ (愛犬) に再生医療をおこなっていました。
確かに再生医療によりアトピーはよくなりましたが、完治させることは難しく、よい状態を維持するためには継続して再生医療を受け続ける必要がありました。
再生医療では常に注射針を刺す必要があるため、タロウにとっても負担だったと思います。
また再生医療は1回の治療費が高いため、継続させることは困難でした。
2-1-1. 研究1: CBDオイルのアトピー性皮膚炎への効果を検証
2020年オーストリアで犬のCBDオイルを販売するCannPal は、アトピー性皮膚炎に対するCBDの効果を検証する研究をおこないました。
研究はアトピー性皮膚炎を患っている13匹の犬でおこなわれました。
(当初は30匹の犬で検証をおこなう予定でしたが、コロナによる影響で13匹の犬で検証をおこなっています。)
期間は56日間 (8週間)、CBDオイルを与えた犬とプラセボ (偽薬) を与えた犬との違いを検証しました。
評価はCADESI-4を使用して皮膚専門の獣医師によりおこなわれました。
豆知識! CADESI-4採点法とは?
CADESI-4 (Canine Atopic Dermatitis Extent and Severity Index) は犬のアトピー性皮膚炎において皮膚症状の度合いを評価する代表的な採点法です。
犬のアトピー症状が発症しやすい部分である、口まわりや耳、手足の先や手の付け根部分など20ヵ所にそれぞれ採点をつけます。
採点方法は、0 (症状なし) / 1(軽度) / 2(中度) / 3(重度) でおこない、脱毛やかき傷、苔癬化 (たいせんか / 皮膚が厚くなり表面にしわや溝が現れた状態) などの症状において採点がなされます。
合計点数の評価基準は、10 (軽度) / 35 (中度) / 60 (重度) です。
研究1の結果
CBDオイルを摂取したグループは、CADESI-4 採点法において平均51% の減少がみられました。
一方で、プラセボのオイルを摂取したグループは、CADESI-4 採点法においてわずかに症状の悪化が記録されています。
また、56日間の研究中にCBDオイルによる目立った副作用も報告されませんでした。
下記の表はこの研究による結果です。
(CBDオイル1と2があるのは2種類の違ったCBDオイル商品を使用したためです。)
2-1-2. 研究2: CBDオイルのアトピー性皮膚炎への効果を検証
2022年アメリカで犬のCBDオイルを販売するEllevet は、アトピー性皮膚炎に対するCBDの効果を検証する研究をおこないました。
研究はアトピー性皮膚炎を患っている32匹の犬で、期間は4週間、CBDオイルを与えた犬とプラセボを与えた犬との違いを検証しました。
評価はCADESI-4採点法とPVASスコアを使用しておこなわれました。
CADESI-4は皮膚専門の獣医師により採点がおこなわれ、PVASは飼い主さんにより採点がおこなわれました。
豆知識! PVAS スコアとは?
PVASスコア (Pruritus Visual Analog Scale) は、犬のかゆみの重症度を評価するものです。
下記のような表を使用し、0から順に読んでいき、現在の犬のかゆみの状態を示す箇所にしるしをつけます。
下記の表でいう「かゆみを示す動作」には、体をかいたり、噛んだり、なめたりすることも含みます。
PVASスコアの評定は通常飼い主さんがおこないます。
研究2の結果
CADESI-4 ではCBDオイルを与えた犬にもプラセボを与えた犬にも大きな変化は見られませんでした。
しかし、PVASスコアでは大きな変化が見られました。
研究開始から2週間後の時点で、CBDオイルを与えた犬のグループは、1.9 cm の改善が見られました。
そして、研究終了時である4週間後には、2.2 cm の改善が見られました。
一方で、プラセボを与えた犬のグループのPVASスコアは0.1cm 悪化していました。
また研究終了後の調査で、「研究中に犬のかゆみが改善したのに気づいたか」、「今後もCBDオイルを継続して使用したいか」、という質問に対して、CBDオイルを与えた犬の飼い主さん17人中10人が「はい」と答えています。
一方で、プラセボを与えた犬の飼い主さん13人中で、「はい」と答えたのは2人のみでした。
(研究終了時に犬の合計数が減っているのは、途中で服用量を間違うなどの理由で抜けたためです。)
副作用に関しても、研究中に獣医師そして飼い主さんから報告された目立った副作用はありませんでした。
1点だけ気になる点をあげるとしたら、血中のALP値が上昇した犬が4匹ほどいたということです。
ALP値は肝臓の病気が疑われるときに上昇しやすいです。
ALP値が上昇したのはなぜ?
今回のCBDオイルのアトピーに対する研究でALP値の上昇が認められた犬は4匹いました。
この4匹に共通していたのは、全員他の薬を摂取していたということです。
薬は主に肝臓の酵素 (シトクロムP450) により代謝されますが、CBDの代謝にはシトクロムP450も関わっているため、他の薬と摂取した場合に、その薬の作用を抑制したり、解毒を妨げたりする可能性があります。
それにより、ALP値が上昇すると考えられています。
実際に、FDA (アメリカ食品医薬品局) はCBDと他の薬を一緒に服用すると肝臓へダメージを与える可能性がある、と述べています。
そのため、薬を服用している場合はCBDの服用に注意が必要です。
CBDによるALP値の上昇は長期摂取で正常に戻る?
ヒトによる実験でもCBDオイルを長期摂取した場合、ALP値の上昇が記録されています。
しかしCBDオイルを長期摂取した場合のALP値の上昇は、体内の適応能力 (体内がCBDオイルに慣れる) により正常に戻ること (可逆性) が示されています。
過去の研究で、健康な犬にCBDオイルを3ヶ月間与え副作用があるか検証しましたが、副作用はなく、心配されていた肝臓への毒性も見られませんでした。
この研究で犬へ与えたCBDオイルの服用量は、2mg / kgを1日2回与えています。
CBDオイルが犬のアトピー性皮膚炎に効果があるのはなぜ?
これまでの研究や使用した飼い主さんの事例報告では、CBDオイルはアトピー性皮膚に対して前向きな効果があることが確認されています。
ですが、なぜCBDオイルがアトピーに効果があるのか不思議ですよね。
CBDオイルが犬のアトピーに対して大きな効果を発揮する理由はカンナビノイド受容体にあります。
(カンナビノイド受容体に関しては下記の記事で詳しく説明していますので合わせてご参照ください。)
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カンナビノイド受容体にはCB1とCB2受容体がありますが、この受容体の両方とも犬の皮膚に発現しています。
過去の研究により、カンナビノイド受容体の働きを促進する薬は、アトピーを患っている犬の皮膚の炎症を緩和することがわかっています。
反対に、カンナビノイド受容体の働きを阻害する薬は炎症を悪化させることがわかっています。
つまり、研究ではカンナビノイドは皮膚の炎症を緩和する作用があることが示されています。
CBDはカンナビノイドの1種なので、体内でカンナビノイド受容体と結合します。
(厳密にいうとCBD自体はカンナビノイド受容体に結合しませんが、カンナビノイド受容体の働きを促進する働きをします。)
そのため、アトピーの炎症を緩和することができるといわれています。
2-2. 犬のCBDオイルの効果2 | ストレスを軽減
CBDには犬のストレスを軽減する作用があることも示されています。
そのためストレスにより問題行動をおこす子や分離不安を抱える子などに摂取させることで、行動を大幅に改善させられることが期待できます。
またストレスのかかるイベントのときに摂取させることで、犬の心を落ち着かせてあげることもできます。
CBDオイルのストレス軽減効果を検証する研究
ペットフードやペットケア用品を幅広く展開しているマーズペットケアは、2023年にCBDが犬のストレスを緩和するかどうかを検証する実験をおこないました。
テストは40匹の健康な犬でおこない、CBDをカプセルで与えた犬 (~4mg / kg) と、プラセボのカプセルを与えた犬との違いを調べました。
テストは下記のAとBの方法でおこなわれました。
🅰テスト: 45分間部屋で1人にさせる。
🅱テスト: 飼い主さんから離れた犬を車に乗せ10分ほど車を走らせる。
結果
結果1
📝コルチゾール (ストレスを感じると分泌されるホルモン) の分泌量の変化率を検証。
🅰:プラセボ投与犬はコルチゾールの量が少し増加した。一方で、CBD投与犬にコルチゾールの変化は見られなかった。
🅱:CBD投与犬もプラセボ投与犬もコルチゾールの量が増加したが、プラセボ投与犬の増加率はCBD投与犬に比べて非常に大きかった。
結果2
📝訓練を受けた観察員による犬の行動の変化を検証。
🅰:CBD投与犬はプラセボ投与犬に比べ、ストレス、悲しい表情、緊張、落ち着かない様子、泣き声の記録が著しく少なかった。
🅱:CBD投与犬はプラセボ投与犬に比べ、悲しい表情の記録が著しく少なかった。
テストBのほかの記録も統計した結果、CBDの投与は車での移動による犬のストレスを軽減するのに前向きな効果がある。
結論
CBDの投与は犬の精神的な安定状態を向上させる可能性がある。
2-3. 犬のCBDオイルの効果3 | 関節炎 (変形性関節症) を緩和
変形性関節症 (関節炎とも呼ばれます) は犬に非常に多く見られる症状です。
実際に、1歳以上の犬では20%以上の犬がなんらかの関節炎を抱えているといわれています。
そして、7歳以上では65%以上が関節炎を抱えているといわれています。
関節炎の治療薬としてよく処方されるのが非ステロイド性の消炎鎮痛薬NSAIDsです。
しかし、NSAIDsは痛みを緩和する効果はありますが、長期間服用することで腎臓や胃腸、そして肝臓へダメージを与える可能性が高いです。
また、NSAIDsを処方される犬は老犬の場合が多く、老犬は腎臓や胃腸に病気がある場合も多いため、NSAIDsを服用できないケースも多々あります。
身体にやさしい代替品として、フィッシュオイルやグルコサミン・コンドロイチンがすすめられますが、目立った効果はあまり期待できません。
関節炎は犬の QOL (生活の質) を大幅に低下させるため、副作用なく安心して使用できる製品の登場が待ち望まれています。
CBDオイルはそんな思いにこたえてくれる製品になり得るかもしれません。
これまでおこなわれた研究により、CBDオイルは犬の関節炎を緩和する効果が示されています。
CBDオイルの関節炎への効果を検証する研究
2018年にアメリカのコーネル大学は犬の変形性関節症 (関節炎) に対するCBDオイルの有効性を判断するため、16匹の犬で研究をおこないました。
すべての犬が重い変形性関節症を抱えていましたが、CBDオイルを摂取したグループは、痛みの大幅な減少と活動量の大幅な増加が認められました。
他に、アメリカのコロラド州立大学やベイラー大学などが犬の変形性関節症へのCBDオイルの効果を調査する研究をおこなっていますが、すべての研究において肯定的な結果が示されています。
参考: Pharmacokinetics, Safety, and Clinical Efficacy of Cannabidiol Treatment in Osteoarthritic Dogs | frontiers
参考: Does CBD Work for Dogs? | American Kennel Club
CBDオイルで重い変形性関節症が改善したアニーちゃん
コーネル大学の研究に参加した13歳のジャーマンシェパードのアニーちゃんは、重い変形性関節症により、階段を上ることも、兄弟犬たちについていくこともできなくなっていました。
そして家族にも興味を示さなくなり生きる気力さえも失っていました。
そのため、アニーちゃんの家族はアニーちゃんを安楽死させる予定でいました。
そんなときコーネル大学の変形性関節症の犬への臨床試験のことを聞き、最後の望みとして参加しました。
アニーちゃんの状態はこの臨床試験により著しく改善し、4年ぶりに階段をのぼり家族と一緒に寝るために寝室へと姿を見せるようになりました。
また、これまで数年間できなかった、家族や兄弟犬と一緒に庭で遊ぶこともできるようになり、活動的に動くこともできるようになりました。
アニーちゃんの母親は、かつての愛らしい愛犬が戻ってきたことに喜びとやすらぎの涙を見せ研究室に姿を見せました。
研究をおこなった獣医師は、「これまで薬や製品が効いたといって涙を見せて研究室にきた人はいない。もし私が犬を飼っていて、その犬が関節炎を患ったら、間違いなくCBDオイルを最初の選択肢として与えるだろう」、と述べています。
アニーちゃんはそれから2年間元気に生き人生をまっとうしました。
参考: How does CBD + CBDA help with joint discomfort in dogs? | ElleVet
参考: The science of CBD and cannabis for cats and dogs | Leafly
2-4. 犬のCBDオイルの効果4 | ガンを抑制
私たちの体内では日々がん細胞が発生していますが、免疫細胞ががん細胞を排除してくれています。
しかし、加齢やストレス、病気などにより免疫機能が低下するとがん細胞を排除しきれなくなってしまいます。
実際に、10歳以上の犬では半分がなんらかのがんを発症するといわれています。
そして、がんは犬の死因におけるトップで、犬の約半分 (約50%) はがんにより命を奪われています。
CBDが体内で作用するカンナビノイド受容体は免疫細胞にも多く発現しています。
CBDの役割は体の機能を正常に戻すことです。
そのためCBDを摂取することで低下した免疫機能を正常にもどし、がん細胞の成長を妨げてくれる効果が期待されています。
CBDオイルのがん抑制効果を検証する研究
コーネル大学は犬のがん細胞に対してCBDオイルのみを投与した場合と、CBDオイルと抗がん剤を投与した場合の研究をおこなっています。
(この研究はシャーレ皿上の犬のがん細胞に対しておこなわれたもので、実際の犬にCBDや抗がん剤を投与しておこなわれたものではありません。)
その結果、CBDはがん細胞の増殖を抑制することが示されています。
また、抗がん剤と一緒にCBDを投与した場合、抗がん剤のみの投与よりもがん細胞の増殖を抑える効果があることが示されています。
そして、その他におこなわれた研究でも、CBDにはがん細胞の増殖を抑制する作用、がん細胞の死を誘導する作用、そして従来のがん治療の効果を促進する効果があることが示されています。
CBDのがんに対する効果はまだ研究室でのみ証明されているものですが、獣医師の記録による前例や何千という飼い主さんの体験談でも同じような効果があることが示されています。
😻CBDのがんに対する効果
- がん細胞の成長を抑制
- がん細胞の死を誘導
- 抗がん剤や放射線治療の効果を促進
また、CBDは犬のがん治療の補助として下記のような効果を発揮することも示されています。
😻CBDのがん治療に対する補助的な効果
- がんによる痛みを抑制
- 食欲の改善
- 吐き気の減少
- 抗がん剤や放射線治療の量を減らす
がん治療をおこなっていくうえでは、がんと闘うための体力を維持していくことが大切になってきます。
CBDはがん治療による痛みや副作用を取り除くことで、がんと闘う患者の体力を維持してくれるものとなり、結果的にがん患者の余命をのばす効果が期待できます。
そしてなによりも、CBDはがんを患う犬のQOL (生活の質) を大幅に改善してくれます。
CBDのもたらす効果は、がんと闘う愛犬の強い味方になってくれることが期待できます。
参考: Promising Research on the Use of CBD to Treat Canine Cancer | AKC Canine Health Foundation
参考: Cannabidiol Induces Apoptosis and Perturbs Mitochondrial Function in Human and Canine Glioma Cells
参考: Combination therapy with cannabidiol and chemotherapeutics in canine urothelial carcinoma cells
骨肉腫の犬 | CBDで余命4ヶ月を26ヶ月に
骨肉腫は骨にできる悪性のがんで、犬の場合多くは四肢に発症します。
骨肉腫は大型犬に発症が多く、大型犬では4匹に1匹の割合で骨肉腫を発症するといわれています。
犬の骨肉腫は早期での発見が難しく、また重要な臓器への転移も早いため、骨肉腫と診断されたときには、通常余命は4ヶ月くらいしかありません。
発症した箇所は痛みもともなうため、腫瘍のある足を切断するという選択肢も提示されます。
しかし足を切断したとしても、その時点で他の臓器へ転移している可能性が高いため、余命をのばすことはできない可能性が高いです。
足を切断したあとに抗がん剤で治療した場合、余命をのばすことはできますが、それでも余命は8~12ヶ月くらいといわれています。
ですが、骨肉腫と診断されたドーベルマンのニーナちゃんは、足を切断することも抗がん剤での治療をおこなうこともなく、2年以上生きることができました。
治療として使用したのはCBDオイルとカワラタケ (しいたけの1種) などのサプリメントです。
下記のビデオは骨肉腫と診断されてから20ヶ月後のニーナちゃんです。
ガンを患っているとは思えないほどとても元気に走り回っています。
それから2ヶ月後 (骨肉腫と診断されてから22ヶ月後) の検査でも、がんの転移はありませんでした。
しかし、腫瘍が血液の循環を妨げるほどに大きくなってしまったため、足を切断することになります。
それから4ヶ月後 (骨肉腫と診断されてから26ヶ月後) にニーナちゃんはこの世を去りました。
ですが、最後の2年は通常の治療ではとうていなしえなかった、素晴らしい人生を送ることができたことは確かです。
ニーナちゃんを担当したホリスティック獣医師は、「骨腫瘍に対するCBDの痛みを緩和する力にとても驚いています。CBDは私がこれまで使用したほかのどの方法よりも効果がありました」、と述べています。
そしてほかのホリスティック獣医師は、「CBDは従来の治療よりもほるかによい結果をもたらしています。抗がん剤は短期的な効果はあっても、免疫システムを破壊してしまうため、長期的には悪い結果をもたらします。それならば短期的にも長期的にも良い結果をもたらすCBDを使用してみはいかがでしょうか」、と述べています。
今後はこのような治療方法が広まっていってくれたらいいなと心から思います。
参考: CBD for Osteosarcoma in Dogs: Nina’s Story | CBD DOG HEALTH
参考: Fuck Cancer! (and the conventional therapies that come with it) | Angela Ardolino
2-5. 犬のCBDオイルの効果5 | てんかんを抑制
ペットとして飼われている犬の約1~5%がてんかん性の発作で苦しんでいるといわれています。
CBDは人間と犬において、てんかんにも効果があることが示されています。
CBDを摂取することで、てんかんの発作の重症度をさげ、発作が発症する間隔をのばすといわれています。
アメリカではCBDは人間用のてんかん薬としてFDAの承認を得ています。
犬へのてんかん薬としての使用は現在研究段階です。
2019年にコロラド州立大学獣医学附属病院は、16匹のてんかんを患う犬を対象にCBDの効果を調査する研究をおこなっています。
その結果、89% に発作の減少がみられました。
現在同病院はさらに多くの犬で研究をおこなう準備を進めています。
3. CBDの副作用は?
CBDの犬への副作用を調べるために、アメリカのホリスティック獣医師会はCBDオイルを飼い犬に使用している飼い主さんに対し、CBDオイルを犬に使用したあとに気づいた副作用を報告してもらうという調査をおこないました。
その結果、1番多かった副作用は「鎮静作用」で19%でした。
鎮静作用ということは、CBDを与えて起こり得る副作用は眠気ということです。
これは決して悪いことではありませんね。
その他の目立った副作用は下記のようになっています。
CBDオイルの副作用
- 鎮静作用: 19 %
- 過度の食欲: 5 %
- 活力の低下: 4 %
- パニック反応: 2.7 %
- 口渇 / 過度な飲水: 2.3%
- 吐き気: 1.7%
- 嘔吐: 1.7%
割合は非常に低いですが、活力の低下やパニック反応、嘔吐など気になる副作用が含まれています。
このような副作用はCBDを必要量より多く与えた場合に起こりえるものと考えられます。
また、CBDではなく強い精神作用を引き起こすTHCによるものとも考えられます。
海外ではTHCのこのような副作用を避けるために、「start low and go slow (少量から始めて少しずつ増やしていく)」、という方法が一般的に推奨されています。
参考: CBD Oil For Dogs: 6 Benefits You Didn’t Know | dogs naturally
4. CBDオイルの効果を最大限いかすための与え方
CBDオイルは食事に混ぜるよりも、オイルを直接犬の歯肉にたらすことで、効き目が早くあらわれ、またよりよい効果を得ることができます。
直接犬の歯肉にたらすことで、CBDは歯肉の粘膜から吸収されて直接血管へと吸収されます。
一方で、食事に混ぜて与えた場合、消化器系を通り血管に到達するため長い時間 (30~45分) がかかり、本来の効果を発揮できません。
そのため、CBDオイルをスポイトにとったら、犬のくちびるを持ち上げて、歯肉にたらして与えてあげるようにしましょう。
スポイトが犬の歯肉に触れた場合は雑菌の繁殖を防ぐために、スポイトを拭いてからビンに戻すようにしましょう。
また、CBDオイルはビンを振ってからスポイトに取るようにしましょう。
そして使用後は冷暗所に保管するようにしましょう。
😸CBDオイルの効果を最大限いかすための与え方
- ビンを振りスポイトにとる
- オイルを歯肉にたらす
- スポイトを拭く (歯肉に触れた場合)
- 冷暗所に保管する
参考: HOW TO DETERMINE OPTIMAL CBD DOSAGE FOR DOGS AND CATS
5. CBDオイルの服用量
CBDオイルの犬への研究はまだ始まったばかりなので、確実な服用量は現在のところありません。
また、CBDへの感度は現在の健康状態や疾患の進行度、年齢などによって違ってくるため、個々の犬によって必要な服用量は異なるともいわれています。
そのため、CBDオイルを犬に与えながら一番よい効果がみられる量を探していく必要があります。
一般的にメーカーでは、0.5 ~ 2 mg / kg の服用量を勧めています。
5-1. 最初は少ない量から始めよう
CBDオイルを初めて与える場合は、少ない量から始めて、様子をみながら増やしていくことがおすすめです。
最初は 0.5 mg / kg の服用量を1週間ほど続けて、嘔吐などの副作用がないかを確かめることから始めましょう。
0.5 mg / kg の量で副作用などの問題もなく、効果があるようならそのまま同じ量を続けます。
もし効果がないようならば、1週間に0.5 mg ずつ増やしていきます。
そのようにして犬の様子を見ながら、一番よい効果があらわれる量まで増やしていくようにしましょう。
そのためには、ノートなどにその日与えた服用量と、その日に気になった犬の様子を毎日記録することがおすすめです。
ノートに記載する事項の例
- 与えた服用量
- 犬の様子
例)
・元気さに変わりはないか
・散歩時の運動量に変化はないか
・睡眠時間に変化はないか
・かゆみのレベルに変化はあるか (この記事でお伝えしたPVASスコアを使用することもおすすめです。)
5-2. 服用量はどれくらい増やして大丈夫なの?
最初は少ない量から始めるのはよいけれど、いったいどれくらいまで増やして大丈夫なのかという疑問もありますよね。
CBDオイルの服用量を検証する研究はいくつかおこなわれています。
ある研究では、健康な犬に2 mg / kgを1日2回 (12時間ごとに1回) の量を3ヶ月間与えています。
この研究の結果、副作用はなく、心配されていた肝臓への毒性もみられませんでした。
そのため、この服用量 (2 mg / kg を 1日2回) は安全である可能性が示唆されています。
そしてこの記事でお伝えした、アトピーと関節炎の研究時にも、同じく2 mg / kgを1日2回与えています。
また他の研究では、2 ~ 62 mg / kg のCBDオイルを3日に1回、合計10回与えています。
この研究でもCBDオイルへの耐性が確認されていて、目立った副作用は報告されませんでした。
人間のほうでも、多くの研究がおこなわれています。
WHO (世界保健機関) はCBDの臨床試験 (人に対しておこなう試験) では、1日あたり100 mg ~ 800 mg を通常服用している、と述べています。
そのため、服用量に関してはそんなに神経質にならなくてもよいともいえます。
ですが先にお伝えしたように、必要量より多く与えてしまうと活力の低下などの副作用が起こる可能性があります。
また、最初から多くの量を与えてしまうと、少ない量では効かなくなってしまう可能性もあります。
そのため、最初は少ない量から与えていき、最大の効果を得られる量を探していくことがおすすめです。
そして、服用量は必要のない限りは増やさないようにしましょう。
5-3. 服用は1日1回? それとも2回?
CBDは与えてから6~8時間ほど犬の血管にとどまることが研究により示されています。
そのため、1日を通して一定の効果を期待するのであれば、1日2回 (12時間に1回) 服用させることが望ましいです。
ですが、1日に1回で十分な効果が得られているようなら、1日2回にする必要はありません。
犬の様子を見て、CBDオイルを与えてから12時間経ったあとのほうが、かく動作が増えているとか、痛がる動作が増えているとかがあるようであれば、1日2回にして様子を見るというようにするとよいでしょう。
先にお伝えしたように、個々の犬によって最大の効果を得られる量は違ってきます。
そのため、試行錯誤を繰り返しながらその犬に合う量を探していくことがおすすめです。
5-4. 最大の効果を発揮するのは服用から2時間後
CBDオイルの効き目は与えてから2時間後にピークに達して、徐々に減少していくことが研究により示されています。
このことを知っておくと、ちょっとしたときに役立ちます。
たとえば注射を嫌がって暴れてしまう子は、注射の2時間前に服用させることで、一番よい結果を得られる可能性が高くなります。
今回お伝えした、CBDのストレス軽減作用を検証する研究でも、服用させてから2時間後に実験をおこなっています。
まとめ
CBDは人間においても犬においても、通常の治療で処方される薬よりもはるかに安全に使用できることが示されています。
アメリカのホリスティック獣医師が述べていたように、副作用のある薬を服用させるのであれば、まず最初にCBDを試してみることが犬のためにもよい選択だと思います。
日本ではまだ犬用のCBDは多く販売されていませんが、今後は日本にも広まっていくことを願っています。
下記の記事では、CBDオイルとは何なのかということから、CBDオイルを選ぶさいのポイントを解説していますので合わせてご参考ください。
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