エンドカンナビノイドシステムは1990年代初頭、大麻草に含まれるカンナビノイドの1種であるTHCを研究している研究家たちにより明らかにされました。
それ以降、多くの研究家がエンドカンナビノイドシステムを研究するようになり、少しずつ体内でどのような機能をはたすのかが明らかになってきています。
そして、多くの研究によりエンドカンナビノイドシステムは体内の状態を最適に保つために重要な役割をはたしているということが明らかになってきています。
この記事ではエンドカンナビノイドシステムとは何か、そしてどのような機能を持っているのかをわかりやすく解説いたします。
この記事を読めばカンナビノイドがどうして多くの分野で効能を発揮することができるのかがわかるので、ぜひご一読くださいね🎉
エンドカンナビノイド・システムとは?
エンドカンナビノイドシステムは全身に密集して広く分布しています。
そして、わたしたちの体を正常に保つための司令塔のような役割をはたしています。
エンドカンナビノイドシステムは核となる下記の3つの要素から構成されています。
💡エンドカンナビノイドシステムの構成要素
- エンドカンナビノイド
- カンナビノイド受容体
- 酵素
それでは、この3つの構成要素に関して詳しくみていきましょう。
エンドカンナビノイドとは?
エンドカンナビノイドは内因性カンナビノイドとも呼ばれます。
エンドカンナビノイドは英語ではEndocannabinoid、内因性カンナビノイドはendogenous cannabinoidとなります。
英語の “endo” は「内部」という意味があります。
つまり、エンドカンナビノイドとは体内で生じるカンナビノイドという意味です。
エンドカンナビノイドは大麻草のカンナビノイドと構造が似ていて、体内で作られるためエンドカンナビノイドと名付けられました。
エンドカンナビノイドは体内の神経活動に応じて必要なときに作りだされます。
しかし、エンドカンナビノイドは加齢やストレスにより減少してしまいます。
専門家たちによりこれまでに確認されているエンドカンナビノイドは下記の2種類です。
エンドカンナビノイドの種類
- アナンドアミド (AEA)
- 2-アラキドノイルグリセロール (2-AG)
カンナビノイド受容体とは?
カンナビノイド受容体には主にカンナビノイド受容体1 (CB1受容体) とカンナビノイド受容体2 (CB2受容体) があります。
エンドカンナビノイドはカンナビノイド受容体などの受容体に結合し信号を送ることで機能します。
CB1受容体とは?
カンナビノイド受容体1 (CB1受容体) は主に中枢神経に広範囲にわたり分布しています。
中枢神経は脳と脊髄からなり、全身に指令を送る中心的な働きをしています。
脳には多くの種類の受容体が存在していますが、CB1受容体はもっとも多く存在している受容体の1つです。
CB1受容体は交通整備をする警察官のような役割をはたしていて、他の多くの神経伝達物質の量と活動を素早いフィードバックで制御しています。
つまり、CB1受容体は体温や食欲等、その時に調整が必要なシステムの活動を迅速に調整しています。
下記の図はCB1受容体の主な分布箇所と機能を示しています。
CB2受容体とは?
CB2受容体は白血球などの免疫細胞に多く分布しています。
そのためCB2受容体は免疫機能の制御を支えるのに重要な役割をはたしています。
また、CB2受容体は抹消神経や骨に存在する骨細胞、脾臓、肝臓などにも存在しています。
参考: The endocannabinoid system: Essential and mysterious | Harvard Health Publishing
酵素とは?
酵素はエンドカンナビノイドが体内での役割を果たしたあとに、エンドカンナビノイドを分解する役割を担います。
エンドカンナビノイドを分解する酵素は主に下記の2種類があります。
- 脂肪酸アミド加水分解酵素
- モノアシルグリセロールリパーゼ
生体恒常性 (ホメオスタシス) を正常に保つのに重要
私たちの身体には身体の外部や内部に起こった変化に対して、すぐに対応し、身体の状態を正常に戻し、常に最適の状態を保とうとする能力があります。
この能力のことを生体恒常性 (ホメオスタシス) といいます。
たとえば人間の体温は常に36℃前後に保たれていますが、これは生体恒常性によるものです。
暑いときは汗をかくことで体を冷やし、体温を平常に戻そうとします。
そして寒い時には毛穴を閉じて、体を震えさせることで熱を出します。
体内の体温や心拍数、水分量、血糖値や血圧などが平常に保たれているのは生体恒常性によるものです。
すべての生物にとって生体恒常性はなくてはならないものです。
生体恒常性は多くの神経やホルモン、そして免疫機能により制御されています。
そしてカンナビノイドシステムは生体恒常性を保つために必要なシステムの活動を制御しています。
まとめ
これまでは大麻 = 麻薬というイメージが非常に強いため、カンナビノイドが持つ治療効果が陽の目を見ることはありませんでした。
現在のところエンドカンナビノイドシステムに関しての全容はまだ明らかになっていません。
ですが、カンナビノイドは多くの分野で治療薬として著しい効果を発揮する可能性を秘めています。
今後研究が進むにつれて、カンナビノイドはこれまで確実な治療薬がなかった分野の疾患でも治療できる薬を開発するための鍵となるかもしれません。
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参考: A Simple Guide to the Endocannabinoid System | healthline