クレートは上手に活用すればワンちゃんにとっても飼い主さんにとってもメリットがいっぱいです。
ですが、間違った使用方法をするとワンちゃんはクレート嫌いになってしまいます。
この記事では、クレートを上手に活用し、間違って使用しないために知っておくべきことをご紹介します。
この記事を読めば下記のことが分かります。
クレートはなぜ犬にとって安心できる場所なの?
犬は巣穴のような狭くて薄暗い場所を好む習性があります。
それは、犬の祖先といわれるオオカミが赤ちゃんを産むときの習性からきているといわれています。
オオカミは巣穴を作り赤ちゃんを産みます。
そして、外敵から身を守るために生まれてから8~12週の間、巣穴で赤ちゃんを育てます。
赤ちゃんは外に出るまでの間、母親や兄弟たちと体を寄せ合い、狭い巣穴で守られながら快適に過ごすのです。
犬が狭くて薄暗い場所を安全で落ち着く場所として好むことが多いは、その時の守られていたあたたかな記憶が残っているためだといわれています。
実際に、家でフリーにしているとローテーブルの下で寝ていたとか、カミナリの時にソファの下に隠れるという話を聞きます。
クレートはこの本能を満たす場所だということをワンちゃんにわかるように教えることができれば、クレートはワンちゃんにとって快適で安全な場所となります。
しかし、飼い主さんが間違った使い方をすると、犬はクレートをオリのように感じクレート嫌いになってしまいます。
私も犬の保護活動で野犬の赤ちゃんのお世話をすることがあります。子犬たちはクレートの中で身を寄せ合って眠り、目覚めるとクレートから出て遊びます。でも臆病な子は人間が近くにいるとクレートの中に隠れてしまいます。そして中から外の様子をうかがっています。
このことからもクレートは犬にとって安全基地であるということがわかります。
参考:Crate Training Benefits: Why A Crate Is Great For You And Your Dog | American Kennel Club
参考:Why Every Dog Needs a Den | ZenCrate
クレートのメリット
クレートは飼い主さんにとってもワンちゃんにとってもさまざまなメリットがあります。
メリット1 | リラックスできる安全な場所を提供する
- クレートを安全な場所として認識すると、疲れた時など休むために自発的にクレートに入るようになります。
メリット2 | 留守番時の問題行動や誤飲を防ぐ
- 誤飲や感電などの事故から防ぎます
- 家具などが噛まれることを防ぎます
- 家の中での排泄を防ぎます
メリット3 | 目が離せないときも安心
- 家事などで目が離せないときでもクレートに入れておけば安心です。
メリット4 | 車や飛行機での移動を安全にする
- 運転中犬が暴れても安全
- クレートに慣れていると飛行機での移動も安心
メリット5 | 犬を預ける時も安心
- 検査や手術などで動物病院に預けなければならない時もクレートに慣れていると安心です。
- ペットホテルに預けるときも安心して預けられます。
メリット6 | 緊急時の避難がスムーズになり、はぐれる可能性が少なくなる
- 災害時に素早く犬をクレートに入れ避難することができます
- 一時避難時に犬を預けやすくなります
メリット7 | 老犬になり病気になった時に管理しやすい
- 動物病院への移動が容易になります
- 認知症の徘徊を防ぎます
クレート使用時に注意すべきこと
それでは次にクレートを使用するために注意するべきことをお伝えいたします。
注意1 | いきなり閉じ込めずにクレートトレーニングをおこなう
いきなりクレートに閉じ込めることはせずに、クレートトレーニングをおこない少しずつ慣らしていきましょう。
それによりワンちゃんに負担をかけることなく、クレートは安全で快適な場所であることを教えることができます。
クレートトレーニングの方法に関しては、別途「クレートトレーニングの方法」で詳しく解説していますのでぜひ参考ください。
注意2 | 罰を与える場所として使用しない
悪いことをしたときに閉じ込める場所としてクレートを使用しないようにしましょう。
怒った態度や声でクレートに入れると、「クレート=怖い場所」という関連付けができてしまいクレートを嫌がるようになってしまいます。
注意3 | 1日6~8時間以上閉じ込めない
日中仕事などで長い時間クレートに入れている場合は仕事から帰ってきたらワンちゃんはクレートから出し、クレートのドアは開けておきましょう。
そして夜寝るときもクレートのドアは開けておきましょう。
注意4 | 十分な運動や散歩を欠かさないようにする
クレートに長時間入れておく場合、十分な運動や散歩を欠かさないようにすることが大切です。
犬は高度な社会性動物なため、運動はもちろんのこと、飼い主さんからの愛情やスキンシップ、他犬との交流が必要です。
注意5 | クレートが合わないワンちゃんには無理に使用しない
ワンちゃんの性格もさまざまです。クレートトレーニングをしてもクレートに閉じ込められることに不安を感じているようであれば無理には使用しないようにしましょう。
その場合は、ゲートやサークルを設置して「ワンちゃんの部屋」を用意してあげることもおススメです。
下記の記事では「ワンちゃんの部屋」の設置方法を説明していますのでぜひご参考ください。
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注意6 | いつでも新鮮な水を飲めるようにしておく
水はいつでも飲めるようにしておく必要があります。
下記のような水受けを使用して新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきましょう。
[年齢別]クレートには何時間入れておいて大丈夫?
クレートにどのくらい入れておいても良いかは、どれくらいトイレを我慢できるかによります。
どのくらいトイレを我慢できるかは、年齢や犬の大きさ、健康状態などにより異なりますが、一般的な時間は下記のようになります。
🐶ワンちゃんの年齢 | ⏰トイレを我慢できる時間 |
生後2ヶ月 | 1~2時間 |
生後3~6ヶ月 | この時期は月齢がトイレを我慢できる長さとなります。 例) 4ヶ月なら4時間我慢できる |
生後7~8ヶ月 | 6~8時間 |
生後8ヶ月以上(成犬時) | 6~8時間 (夜間寝ているときは最大で10~12時間) |
7歳以上 | 4~6時間 |
12歳以上 | 2~4時間 |
成犬はトイレを8時間我慢できるため、8時間はクレートに入れておいて大丈夫といわれています。
しかし精神的な面を考慮して、4時間ごとにクレートから出し、気分転換のため散歩をしたりおもちゃで遊ばせるべきという意見もあります。
そのため日中お仕事などで長時間お留守番させるときは、ワンちゃんが遊べるスペースやトイレ、お水等を用意した広めのサークルに入れお留守番させることをおすすめいたします。
広めのサークルを設置してあげれば、サークル内で楽しく1人で遊ぶことができるので分離不安などの精神不安や運動不足などによるストレスを防ぐことにもつながります。
特に子犬や老犬はトイレを長く我慢できないので、クレートに閉じ込めずに広めのサークルを設置してあげることをおすすめいたします。
広めのサークル (ワンちゃんの部屋) のメリットや設置方法に関しては下記の記事で詳しく説明していますので合わせてご参考ください
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犬の身体に合ったクレートのサイズの測り方
身体の大きさに合ったクレートを提供してあげることで、ワンちゃんはクレートを安全で安心できる場所として認識しやすくなります。
クレートはワンちゃんがクレート内で
- 立ち上がれる
- 一回転できる
- 横になれる
必要があります。
ワンちゃんに合ったクレートのサイズを測る方法
step
1高さを測ります
- 犬が立った状態で、頭のてっぺんから地面までの高さを測ります。
(柴犬のように立ち耳の場合は、耳の先から地面までを測ります) - 十分に動けるスペースを得るために、小型犬は5cm、大型犬は10cm追加します。
step
2奥行を測ります
- 犬が立った状態で、鼻先からしっぽの付け根までの長さを測ります。(全長)
- しっぽが固かったり長かったりする場合は、しっぽ分として数cm追加してもよいです。
(しっぽを振った時にクレートに当たるのを防ぐため) - 十分に動けるスペースを得るために、小型犬は5cm、大型犬は10cm追加します。
Step1 & Step2 でのサイズは、ワンちゃんに合ったクレートの最小サイズです。
そのため、ハウスとして使用する場合は動きやすい十分なスペースを与えてあげるために、さらに5~10cm追加しても問題ありません。
ですが、車での移動で使うことが多い場合は、中で滑ってしまうことも考えて最少サイズのクレートをおススメいたします。
まだ子犬の場合でクレートが大きすぎる場合は、プラスチックのケースを中に置くなどしてサイズを調整すると良いです。
ケージを使用する場合は、仕切りを別途購入して結束バンドで固定することで中のサイズを調整することができます。
子犬の場合は成長したときのサイズに合わせて購入したほうが買い替えの必要がないので経済的です。
犬種ごとのサイズの目安は、「犬の種類・大図鑑~世界各国のメジャー・マイナー犬を網羅 | 子犬のへや」をご参照ください。
参考:What Size Dog Crate Do You Need? [The Ultimate Guide] - Animalso
クレートを設置する場所
クレートは犬が休むときや寝るときに使用することが多いため、できるだけ静かな場所に置いてあげましょう。
ですが家族から離れすぎた場所だと寂しい思いをさせてしまいます。
そのため、静かでもあまり離れていない場所に置いてあげましょう。
夏場は直射日光を避けることができ、冬場は日向ぼっこができる場所が理想的です。
窓辺の場合はカーテンやブラインドなどで調整できるようにしましょう。
クレートを設置する場所
- 家族から離れすぎずに、静かに休める場所
- 夏場は直射日光を避ける
- 冬場は日向ぼっこができる
クレートの種類
クレートにはハードタイプとソフトタイプがあります。
また、ケージをクレートのように使用することもおススメです。
ここではそれぞれのメリットとデメリットをご紹介いたします。
ハードタイプ
ハードタイプはプラスチックで作られている頑丈なクレートです。
気密性と防音性があるため外の環境から遮断してあげることができます。
そのため、外の環境に刺激を受けやすい犬に一番おすすめのクレートです。
気密性があるので冬場は暖かいですが、夏場は暑くなりやすいため温度管理に気をつける必要があります。
ハードタイプのクレートは移動に便利で飛行機でも使用できます。
ほとんどが折りたたみはできないので保管時は場所をとります。
- 頑丈で耐久性がある
- 気密性があるので冬場は暖かい
- 防音性があるのでまわりの環境に左右されにくい
- 移動に便利 (飛行機でも使用できる)
- 暑い日は温度管理に注意が必要
- 保管時に場所をとる
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ソフトタイプ
ソフトタイプはナイロンなどの軽量な素材で作られているやわらかいクレートです。
軽量で折りたためるので持ち運ぶのに一番便利なクレートです。
ですが、気密性や防音性はあまり望めません。
価格はお手頃ですが、他のクレートよりも耐久性に欠け壊れやすいというデメリットがあります。
そのため、中型犬以上の犬を中に入れて運ぶことは避けたほうがよいでしょう。
- 軽量
- 価格が安い
- 折りたたんで持ち運びができる
- ホテルやキャンプなどで簡単に設置できる
- 保管に場所をとらない
- 気密性と防音性はあまり望めない
- 耐久性に欠け壊れやすい
- 中型犬以上を入れて持ち運ぶのには注意が必要
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ケージ
ケージはハードタイプとソフトタイプの中間に位置するクレートといえます。
ワイヤーでできているので頑丈ですが気密性と防音性に関してはハードタイプより劣ります。
ですが、ケージは上から毛布などをかけてあげることで簡単に気密性と防音性を調整することができます。
状況により調整することができるので、ハードタイプほどの気密性を求めずに犬をクレートに入れておきたい場合はケージの使用をおすすめいたします。
ケージにカバーをかけることのメリットに関しては、下記にて説明していますのでご参照ください。
ケージは分解や折りたたみができるため保管時に場所はとりません。
また、上記「クレートサイズの測り方」の章でもご説明したように、ケージは仕切りなどで調整可能です。
- 頑丈で耐久性がある
- 上から布などをかけることで気密性と防音性を調整できる
- 分解や折りたたみができるため保管に場所をとらない
- ワンちゃんのサイズに合わせて仕切りなどで調整可能
- 布をかけないと中から外が丸見えなため外の環境に刺激を受けやすい
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カバーをかけることのメリット
ケージはカバーをかけることによって温度調整ができます。
例えば、夏の暑いときはカバーをかけないことで風通りがよくなるので涼しくなりますし、冬はカバーをかけてあげることで暖かくすることができます。
また防音性も簡単に調整できます。
たとえば夜ワンちゃんが寝る時間でも、家族はまだ起きていて電気がついていたり騒がしかったりすると犬はゆっくり休むことができません。
ですが、カバーなどをかけて外の世界と遮断してあげることで、ワンちゃんは安心して休むことができます。
また、神経質な犬や少しの刺激で興奮しやすい犬などは、カバーをかけることで外からの刺激を受けにくくなるため、吠えたり興奮したりすることを抑えることも期待できます。
カバーを使用するさいはすべておおってしまうと空気の通りが悪くなるため、後ろ側はカバーをかけないようにすることがポイントです。
まとめ
クレートのメリットや正しい使い方などに関して理解したあとは、下記の記事「クレートトレーニングの方法」を参考にクレートトレーニングを始めましょう。
「クレートトレーニングの方法」では、さまざまなトレーニング方法をご紹介しています。
ワンちゃんに合った方法でトレーニングしていくことができますので、ぜひ参考にしてくださいね。
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参考:Crate Training Benefits: Why A Crate Is Great For You And Your Dog | American Kennel Club
参考:Why Every Dog Needs a Den | ZenCrate