伏せの姿勢は、犬がくつろぐときにする姿勢ですが、その他にも自分よりも強い相手に降伏や服従したときに示す姿勢でもあります。
そのため、伏せを教えることで、犬に誰がマスターなのかをはっきりと認識させることができます。
また、伏せの姿勢をさせることで、お互いの信頼関係を認識することができます。
この記事では、一般的な伏せの教え方の他に、伏せをマスターしてくれない犬への教え方も紹介していますのでぜひ参考にしてくださいね。
「伏せ」を教えるメリット
冒頭でお伝えしたように、伏せは犬が自分よりも強い相手に服従したときに示す姿勢です。
そのため、伏せをするということは、犬が飼い主さんをマスターとして認めているという意味も持ちます。
伏せを教えることで、誰がマスターなのかをはっきりと認識させることができるので、犬の服従心と従順心を育てることができます。
また、服従心と従順心を育てることは、飼い主さんと犬との信頼関係も育むことにもつながります。
その他にも伏せを教えておけば、外出先でとても役立ちます。
例えば、動物病院で待ち時間が長い時でも安心して犬を休ませておくことができます。
また、外出先で犬同伴OKのカフェなどに行ったときに、犬を足元で休ませておくことができるため、飼い主さんも安心してお茶をすることができます。
伏せを教えれば、愛犬と一緒に行動できる範囲が広がり、もっと多くの楽しい時間をともに過ごすことができようになります✨
- 服従心を育てる
- 従順心を育てる
- 信頼関係を育てる
- 動物病院で待ち時間が長くても安心
- 一緒に行動できる範囲が広がる
いつから教えることができるの?
「おすわり」・「伏せ」などの簡単なしつけは生後8週以降から開始しても子犬は覚えことができるといわれています。
私も犬の保護施設で野犬の子犬のお世話をすることがありますが、実際に生後8週目くらいの子犬でもまわりの成犬が「おすわり」をしているのを見るだけでできるようになります。
ですが通常、家に迎える子犬は一匹で新しい環境にきます。
そのため、お手本となる成犬はいませんし、なによりも新しい環境にきたばかりの子犬は不安でいっぱいです。
そのため、新しい家にきたばかりの子犬にいきなりしつけをおこなうのではなく、子犬とのきずなを深めることや、しつけに向けた準備をおこなうことをおすすめします。
子犬とのきずなを深める方法、そしてしつけに向けた準備ではどのようなことをするのかに関しては下記の記事、「子犬のしつけスケジュール」でご紹介していますのでご参考ください。
子犬とのきずなを深める方法、そしてしつけに向けた準備の方法は、「子犬のしつけスケジュール」内の下記の箇所にてご紹介しています。
- 第5段落「生後8週目から開始すべきこと1 | 子犬とのきずなを深める」
- 第5段落「生後8週目から開始すべきこと2 | しつけに向けた準備」
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この記事で紹介していることを生後8週目~10週の間におこなうことにより今後のしつけが非常にしやすくなります。
そして10週目以降から「おすわり」・「伏せ」・「待て」などの基本のしつけをおこなうようにします。
子犬にしつけをおこなうときの注意事項
子犬にしつけをおこなうさいは、下記の点に注意するようにしましょう。
🐣子犬にしつけをおこなうさいの注意事項
子犬は飽きやすいため、1回のしつけの時間を短くして (5~10分)、1日に数回に分けておこなう
興味を持続させるために、おやつを使用して子犬が楽しめるようにおこなう
この2つのポイントは子犬に限らず言えることですが、子犬の場合は特に覚えておいて欲しいポイントです。
「伏せ」をすることに対して良いイメージを持たせるために、常にポジティブなイメージを与えながら楽しめるようにおこなうことが大切です。
無理に座らせようとしてお尻を押したりすると犬に不安や不快感を与える可能性があるため、できるだけフードやおやつを使用して導くようにしましょう。
上記のポイントをふまえながら、飼い主さんもワンちゃんも楽しめるように、しつけをおこなっていきましょう。
参考 : Teach Your Puppy These 5 Basic Cues | American Kennel Club
しつけは先延ばししないようにしよう
子犬期はしつけることがたくさんあるため大変に思うかもしれません。
子犬期はしつけに限らず経験したすべてのことから多くのことを吸収できる時期です。
そのため、しつけを遅らせることは大切な機会を逃していることにもなりますし、またしつけから得られるメリットを先延ばししてしまうことにもなります。
ワンちゃんにとっても、この時期に教えてあげたほうが覚えやすいためしつけは先延ばししないようにしましょう。
参考 : Puppy Behavior And Training Training Basics | VCA Animal Hospitals
伏せは座った姿勢から教えたほうが良いの?
座った姿勢ならお尻はすでに床についている状態なので、半分はすでに伏せができていることになります。
そのため、「伏せ」は座った姿勢から教えたほうが簡単にマスターできる場合が多いです。
ですが、犬により行動はさまざまですし、また立った状態から「伏せ」を教えたい場合もあると思います。
この記事では座った姿勢と立った姿勢のどちらからでも「伏せ」を教えられる方法を説明していますので、その時の状況に合わせて教えることができます。
「伏せ」を教える前の準備
- コマンドを決めます(「伏せ」など)。
常に同じ言葉やコマンドを使用しなければ、犬は混乱してしまい、何を命令しているのか分からなくなってしまいます。
そのため、決めた言葉やコマンドは、家族全員が一貫して同じものを使用するようにしましょう。
- 手による合図でも「伏せ」を覚えさせたい場合は、手による合図も決めます。
伏せの合図は下記の写真のように、手のひらを下に向けて動かす合図と、指で下をさす合図などがあります。
- 床などの滑りやすい場所でおこなう場合は犬が伏せをおこないやすいように、滑り止めマットを用意します。
- しつけでごほうびに使用するおやつやフードを用意します。
しつけで気兼ねなくごほうびを使用できるように、しつけで使用する分のフード (ドックフードなど) を普段の食事から別にとっておくとよいです。
おやつを使用する場合は与えすぎを防ぐために小粒状のものや、簡単に小分けにできるように手で切れやすいものがよいです。小分けする場合はトレーニング前に小さくちぎっておきましょう。
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「伏せ」を教える方法
それではここから「伏せ」を教える方法をお伝えいたします。
2通りの方法を説明しますので、ワンちゃんに合ったほうを選択しましょう。(教え方としては「方法2」のほうが簡単です。)
「伏せ」を教える方法1
🐶伏せを教える方法1
step
1犬の前か横に膝をついて座ります。
step
2フードを手に持ち、犬の鼻の前にかざし、犬の注意をフードに引き付けます。
step
3手をゆっくりとそのまま下へと移動します。
そうすると、犬はフードを持つ手を鼻で追って、頭と肩を下げます。
step
4犬の頭と肩が下がったら、手を手前へゆっくりと移動します。
TIp : なかなか伏せの姿勢にならない場合は下記の方法を試してみましょう。
犬の姿勢が伏せに近づくたびに「よし!」などのほめる言葉いい、はげましましょう。(ほめたあとにフードを与えてもよいです。)
例えばフードを追って前足を低くしたらほめフードを与えます。
そして今度はもう少し前足を低くするようにフードで導き、できたらほめフードを与えます。
このように少しずつ伏せの姿勢に近づけるように導いていきます。
step
5伏せの姿勢になったら、すぐにほめる言葉をいいフードを与えます。
step
6新しいフードを手に持ち犬の鼻の前にかざし、座る or 立つように導きます。
step
7犬が座る or 立ったら、Step 3 ~ 6 を繰り返しおこないます。
伏せをすればフードをもらえるということが分かってきたら、声によるコマンドと手による合図を加えます。
step
8フードを持つ手を下げながら、「伏せ」のコマンドをいいます。
TIp: 最初のうちは、手を下げるときではなく、犬が伏せの姿勢をし始めたら「伏せ」のコマンドをいうようにするとよいです。
伏せの姿勢をおこなっているときにコマンドをいうことにより、行動とコマンドの関係が理解しやすくなります。
step
9犬が伏せをしたら、すぐにほめフードを与えます。
step
10徐々にフードをなくし、声や手による合図だけでおこなうようにします。
「伏せ」を教える方法2
🐶伏せを教える方法2
step
1犬の前か横に膝をついて座ります。
step
2フードを手に持ち、犬の鼻の前にかざし、犬の注意をフードに引き付けます。
step
3フードを持った手を床へ下げます。
step
4下記の写真のように手を床につけたまま、犬がおなかと肘を床につけ伏せの姿勢になるまで待ちます。
Tip :フードを指でしっかりとはさみ、取れそうで取れないような状態にします。そうすることで犬は何とかフードを取ろうとして伏せの姿勢に近づきます。
arrow_downward
参考: Teach a Puppy to Lie Down | Teacher's Pet With Victoria Stilwell
step
5伏せの姿勢になったら、すぐにほめる言葉をいいフードを与えます。
参考: Teach a Puppy to Lie Down | Teacher's Pet With Victoria Stilwell
step
6新しいフードを手に持ち犬の鼻の前にかざし、座る or 立つように導きます。
step
7Step 3 ~ 6 を繰り返しおこないます。
伏せをすればフードをもらえるということが分かってきたら、声によるコマンドと手による合図を加えます。
step
8フードを持つ手を下げながら、「伏せ」のコマンドをいいます。
Tip: 最初のうちは、手を下げるときではなく、犬が伏せの姿勢をし始めたら「伏せ」のコマンドをいうようにするとよいです。
伏せの姿勢をおこなっているときにコマンドをいうことにより、行動とコマンドの関係が理解しやすくなります。
step
9犬が伏せをしたら、すぐにほめフードを与えます。
step
10徐々にフードをなくし、声や手による合図だけでおこなうようにします。
それでも伏せをマスターしてくれない場合の方法
上の方法を試してもダメな場合は、膝やイス・テーブルなどを使用して伏せをおしえる方法をおこないましょう。
これは膝の下やイスの下など、低い場所を体をかがめて通すことで、「伏せ」が何を意味するかがわかるように導く方法です。
ここでは、膝を使用して教える方法を説明します。
膝を使用して「伏せ」を教える方法
step
1膝を曲げて座ります。
step
2フードやおやつを手に持ち、犬の鼻の前にかざし、犬の注意をフードに引き付けます。
step
3膝の下にフードを持った手を入れます。
参考: Teach your dog to down - Troubleshooting
step
4犬が膝の下に顔を入れ、伏せの状態 (おなかと肘が床についた状態) になったらすぐにほめフードを与えます。
参考: Teach your dog to down - Troubleshooting
イスを使用する場合は、下記の写真のようにおこないます。
参考: Teach your dog to down - Troubleshooting
step
5Step 2~4を繰り返しおこないます。
step
6犬が何をすべきかわかってきたら、徐々に膝を高くしていき、膝なしでも伏せができるようにします。
イスを使用している場合は、イスなしでも伏せができるようにします。
この工程をクリアしたら、コマンドや合図で伏せができるようにします。
コマンドや合図を使用する方法は、上記の「伏せのしつけ方法1の step 8~」あるいは「伏せのしつけ方法2の step 8~」を参照してください。
step
7最初にコマンドをいいます。手による合図もおこなう場合は、コマンドと同時に合図をおこないます。
犬がなかなか膝の下に体をかがめて入ってこない場合
膝を使用して「伏せ」を教える方法を試しても、犬がなかなか膝の下に体をかがめて入ってこない場合の方法をお伝えいたします。
最初は膝の位置を高くして下を通るように導き、徐々に膝の位置を低くしていきます。
step
1犬が通りやすいように、最初は膝の位置を高めにします。
step
2犬がフードを追って膝の下に顔を入れたらほめ、フードを与えます。
参考: Teach your dog to down - Troubleshooting
step
3そのまま犬が膝の下を通り抜けるよう、フードで犬を導きます。
step
4犬が膝の下を通り抜けたらすぐにほめフードを与えます。
step
5膝の位置を少し下げます。
参考: Teach your dog to down - Troubleshooting
step
6膝の下で伏せの状態 (おなかと肘が床についた状態) になるまで、Step 2 ~5 を繰り返しおこないます。
step
7膝の下に迷うことなくすぐに伏せの状態で入れるようになったら、コマンドや合図で伏せができるようにしていきましょう。
コマンドや合図を使用する方法は、上記の「伏せのしつけ方法1の step 8~」あるいは「伏せのしつけ方法の step 8~」を参照してください。
おわりに
伏せを教えるのが難しい場合は、早急に結果を出そうとは思わずに、気長に楽しみながらしつけていくようにしましょう。
ワンちゃんを信じて頑張ってください😄