「待て」のように少し複雑なしつけでは段階を踏みトレーニングしていくことが大切です。
そのため海外のドックトレーナーさんたちは「待て」を教えるのに3Dという方法を使用します。
3DとはDuration (持続時間), Distance (距離), Distraction (妨害) の頭文字です。
この3つをいきなり一緒に教えようとすると犬にとっては指示の意味を理解するのが難しくなります。
そのため犬が飽きてしまったりストレスを感じたりして「待て」を教えることが難しくなります。
ですが3Dでは今できることから始めて少しずつ応用を効かせて教えていくので、犬にとって指示の意味が明確になり早くにしつけていくことができます。
この記事では「3D」のトレーニング方法を詳しく解説していきますのでぜひご参考ください😄
「待て」を教える方法 | 3Dとは?
冒頭でもお伝えしたように、3DとはDuration (持続時間), Distance (距離), Distraction (妨害) の頭文字です。
「待て」はこの3段階にわけて教えていくことで簡単にしつけることができます。
第一段階は時間です。「待て」のコマンドから犬がその場で待てる時間を増やしていくトレーニングをします。
第二段階は距離です。飼い主さんが犬から離れても待てるようにトレーニングをします。
第三段階は妨害です。おもちゃを鳴らしたり、外の環境で気の紛らわすもの(自転車や他の犬など)が通っても待てるようにトレーニングをします。
段階にわけて教えていくことで目標が身近なものになります。
つまり目標はちょっと頑張ればできることなので犬は指示の意味を理解しやすく、すぐに覚えてくれやすくなります。
そして少しずつ応用を効かせて教えていくので、犬が飽きてしまったりストレスを感じたりすることなく教えていくことができます。
また、段階にわけて教えることで「待て」を犬に確実に身につけさせることができます。
「待て」を教えるメリット
「待て」をしつけておけば日常のいろいろな場面でとても役立ちます。
たとえば雨の日の散歩から帰ってきたあとに犬の足を拭くためタオルを取りに行っているとき、犬が玄関から上がってしまい床を汚してしまったという経験はありませんか?
そのためいつも急いでタオルを取りに行ったり、あらかじめタオルを用意しておいたりしないといけません。
ですが「待て」をしつけておけばそのような心配はなくなります。
また玄関を開けるときに「待て」を命じることで犬が玄関にダッシュして出ていくのを防ぐことができるので安心です。
その他にも来客時にお客さんにとびかかったりして迷惑をかけることを防ぐことができます。
外出先でも急に車道に飛び出すことを防ぐことができたり、ちょっと誰かとお話しするときに犬を足元で休ませておくことができたりといろんな場面で役立ちます。
また、「待て」をしつけることは犬の衝動をおさえ忍耐力をつけることにも役立ちます。
「待て」はどの姿勢でするのがよいの?
「待て」は「おすわり」の状態からでも「伏せ」の状態からでも教えることができます。
犬にとっては伏せの状態のほうが座った状態よりリラックスできるので長く待てることが多いです。
そのため「伏せ」ができる犬は伏せの状態からしたほうがよいでしょう。
ですが、どちらからでも教えることができるのでこだわる必要はありません。
ただ、立った状態は犬にとって動いたり歩いたりしやすい状態なので「待て」を教えるのは難しくなります。
そのためできるだけ座った状態か伏せの状態で教えるようにしましょう。
下記の記事では「おすわり」のしつけ方法をご紹介していますのでぜひご参考ください。
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「待て」を教えるさいのポイント
ここでは「待て」を教えるさいの重要なポイントを3つお伝えいたします。
ポイント1 | 開始のコマンドと終了のコマンドを決める
「待て」は始まりのコマンドだけでなく終了のコマンドもしっかりと決めましょう。
終了のコマンドは犬に「もう立っていいよ」ということを教える合図です。
「待て」は開始のコマンドと終了のコマンドをペアで使用し、常に終了のコマンドで終わらせるようにします。
日本では終了のコマンドも一緒に教えることに関してはまだあまり広まっていないです。
ですが、海外で「待て」をしつけるさいには大切な事項として必ずいわれていることです。
始まりのコマンドだけでなく終了のコマンドも与えてあげることで、犬になにをすべきかを明確に教えることができます。
それにより「待て」のコマンドをより確実に犬にしつけることができます。
開始のコマンドは「待て」や「ステイ」などがあります。
終了のコマンドには「OK」や「フリー」などがあります。
一度決めたコマンドは常に同じものを使用しないと犬は混乱してしまうため、家族全員が同じコマンドを使用するようにしましょう。
ポイント2 | 犬を待たせている状態のときにフードを手にしない
「待て」を命じてから犬を待たせているときにフードを手にしているということはありませんか?
これは犬の気を紛らわせる大きな原因となります。
犬はかしこいので飼い主さんのフードを取り出す動作に気づき、そちらの方が気になって立ってしまう場合があります。
また、犬が「待て」をできたのでほめてからフードを取り出そうとして、取り出すときにもたついていると犬はそれに気づきそちらの方が気になって立ってしまう場合があります。
そのため、フードはトリーツポーチやウエストポーチなどのすぐに取り出せるものに入れておくのがベストです。。
ポーチがない場合は、「おすわり」や「伏せ」を命じる前に手に持つようにしましょう。
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ポイント3 | 興奮してほめない
犬が「待て」の自己記録を更新し前回より長く待てるようになったときはとても嬉しいですよね。
そのためごほうびのフードを与えるときも興奮してほめながら与えがちです。
ですが飼い主さんが興奮してほめながら犬にフードを与えると、犬も興奮して立ってしまう可能性が高くなります。
そのためごほうびのフードを与えるときは興奮しないでおこないましょう。
参考:Teaching A Dog To "Stay"- 3 Common Mistakes - Professional Dog Training Tips | McCann Dog Training
「待て」を教える前の準備
「待て」を教えるために準備すべき事項をお伝えいたします。
準備1 | おやつやフード
しつけでは上手にできた時のごほうびにおやつやフードを使用します。
ドッグフードを使用する場合はしつけで気兼ねなくごほうびを使用できるように、しつけで使用する分のドックフードを普段の食事から別にとっておくとよいです。
あまりドックフードに興味を示さない場合は、犬の大好きなおやつを用意してあげましょう。
おやつを使用する場合は与えすぎを防ぐために下記のように小粒状のものや、簡単に小分けにできるように手で切れやすいものがよいです。
小分けする場合はトレーニング前に小さくちぎっておきましょう。
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準備2 | 音の鳴るおもちゃ
しつけの第3段階 (妨害を加える) では音の鳴るおもちゃを使用して、気がまぎれるものがあっても待てるようにトレーニングをおこないます。
おもちゃは片手で持つ必要があります。
そのため片手でも音をすぐに鳴らすことができる下記のようなおもちゃを用意しましょう。
準備3 | 静かな環境
最初は犬が集中しやすいように室内や庭などの静かな場所でおこなうようにしましょう。
外でおこなうときは犬が集中しやすいように静かな公園などでおこなうようにします。
外でおこなうときはリードをつけておこなうことを忘れないようにしましょう。
「待て」のトレーニング方法
「待て」を教えるさいの重要なポイントを読み、必要な準備も整ったら早速トレーニングを開始しましょう。
第1段階 : 時間をのばす
最初は待てる時間をのばすトレーニングをおこないます。
step
1犬に「座れ」あるいは「伏せ」を命じます。
step
2手のひらを犬の前に広げてかざし「待て」のコマンドをいいます。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
3犬の前に手のひらをかざしたまま待ちます。
最初は2,3秒「待て」の状態が保てることから始めましょう。
step
4ほめる言葉 (「いい子」など) をいい犬にフードを与えます。
ほめてフードを与えるときは興奮しないでおこなうようにします。
step
5Step 1~4を数回繰り返します。
犬が「待て」の状態を保てそうであれば Step 1 ~ Step 4 を繰り返しおこないます。
成功するたびにstep3で待たせる時間を少しずつのばしていきます。
ここであまり無理はせずに次のステップ (犬を立たせる) をおこなうようにしましょう。
犬が立つ前に飼い主さんが立たせることで犬の成功体験を増やすことができ、早く覚えさせることができます。
犬が途中で立ってしまった場合はフードは与えず再度Step1からおこない、次は待たせる時間を少し短くしましょう。
step
6終了のコマンド (「OK」など) をいい犬を立たせます。
終了のコマンドと一緒に手や太ももをたたいたりすると、犬に立ってもいいということをわかりやすく伝えることができます。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
7Step 1 ~を繰り返しおこないます。
待たせる時間が長くなってきたら、途中でほめる言葉を静かな口調でいい犬を励ましましょう。
2~3分ほど待てるようになったら次の段階 (距離を加える) に進みましょう。
第2段階 : 距離を加える
次は飼い主さんが犬から離れても待てるようにトレーニングをおこないます。
step
1犬に「座れ」あるいは「伏せ」を命じます。
step
2手のひらを犬の前に広げてかざし「待て」のコマンドをいいます。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
3手をかざしたままうしろにさがります。
最初は犬に背を向けずに、犬とのアイコンタクトを意識しながら下がります。
最初は半歩や1歩下がることから始めましょう。
step
4犬のところへ戻りほめる言葉 (「いい子」など) をいいフードを与えます。
ほめてフードを与えるときは興奮しないでおこなうようにします。
step
5Step 1~4を数回繰り返します。
犬が「待て」の状態を保てそうであれば Step 1 ~ Step 4 を繰り返しおこないます。
成功するたびにstep3で下がる距離を少しずつのばしていきます。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
ここであまり無理はせずに次のステップ (犬を立たせる) をおこなうようにしましょう。
犬が立つ前に飼い主さんが立たせることで犬の成功体験を増やすことができ、早く覚えさせることができます。
犬が途中で立ってしまった場合はフードは与えず再度Step1からおこない、次は下がる距離を少し短くしましょう。
step
6終了のコマンド (「OK」など) をいい犬を立たせます。
終了のコマンドをいうときも犬のもとに戻ってからいうようにしましょう。
step
71~2mほどさがることができたら、犬に背を向けて下がるトレーニングを開始します。
Learning the Stay Cue | Teacher's Pet With Victoria Stilwell
後ろに下がるだけでなく犬の周りを歩いたりしてみましょう。
Learning the Stay Cue | Teacher's Pet With Victoria Stilwell
このとき途中で「待て」のハンドシグナルをしたり、「いい子」などのほめる言葉を静かな口調でいったりして犬を励ましましょう。
第3段階 : 妨害を加える
次は妨害 (犬の気を紛らわすもの) があっても待てるようにトレーニングをおこないます。
step
1片手に音の鳴るおもちゃを持ちます。
step
2犬に「座れ」あるいは「伏せ」を命じます。
step
3手のひらを犬の前に広げてかざし「待て」のコマンドをいいます。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
4手に持ったおもちゃを犬の前で動かしたり音を鳴らしたりします。
最初はおもちゃを犬の前で動かすことから始めましょう。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
5ほめる言葉 (「いい子」など) をいい犬にフードを与えます。
step
6Step 1~5を数回繰り返します。
犬が「待て」の状態を保てそうであれば Step 1 ~ Step 5 を繰り返しおこないます。
Step4 でおもちゃを動かしても待てることに成功したら次は音を鳴らしても待てるようにトレーニングをします。
最初は音を1回鳴らすことから始め、成功したら2回、3回と増やしていきましょう。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
ここであまり無理はせずに犬が立つ前に次のステップ (犬を立たせる) をおこなうようにしましょう。
step
7終了のコマンド (「OK」など) をいい犬を立たせます。
step
8 Step 1 ~を繰り返しおこないます。
Step 4 でおもちゃを鳴らしても待てるようになったら、次はおもちゃを犬の前で投げても待てるようにトレーニングをしてみましょう。
第4段階 : 時間・距離・妨害 を加えたトレーニングをおこなう
第3段階までのトレーニングが成功したあとは仕上げとして第1~第3段階 (時間・距離・妨害) のすべてを加えたトレーニングをおこなうことをおすすめします。
このトレーニングも成功したあとに外の気がまぎれる環境 (他の犬がそばを通るなど) でトレーニングをおこなうと、外でのトレーニングが成功しやすくなります。
step
1片手に音の鳴るおもちゃを持ちます。
step
2犬に「座れ」あるいは「伏せ」を命じます。
step
3手のひらを犬の前に広げてかざし「待て」のコマンドをいいます。
step
4そのまま数歩下がります。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
5おもちゃを鳴らしたり投げたりします。
最初はおもちゃを鳴らすことから始めます。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
6犬のところへ戻りほめる言葉 (「いい子」など)をいいフードを与えます。
step
7Step 1~6を数回繰り返します。
犬が「待て」の状態を保てそうであれば Step 1 ~ Step 6 を繰り返しおこないます。
Step 5 でおもちゃを鳴らしても待つことができたら次はおもちゃを投げてみましょう。
How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
step
8終了のコマンド (「OK」など) をいい犬を立たせます。
おもちゃを投げることにも成功したら、次は飼い主さんがジャンプをする、犬の横を走って通るなどのことをおこなっても待てるようにトレーニングをしてみましょう。
このとき途中で「待て」のハンドシグナルをしたり、「いい子」などのほめる言葉を静かな口調でいったりして犬を励ましましょう。
「待て」を犬が確実にマスターしたあとは、徐々にごほうびのフードを声でほめることや頭をなでることなどに切りかえていくようにしましょう。
まとめ
「待て」のように少し複雑なしつけでは目標を細かく設定して、まずできそうなことから教えていくということで簡単にしつけていくことができます。
「待て」は常に終了のコマンドと一緒に使用することも大切です。
そうすることで「待て」を確実に犬にしつけることができ、長い時間犬を待たせておくことができるようになります。
しつけは急がずに犬のペースに合わせて教えてあげるようにしましょう。
そして飼い主さん自身も楽しみながら教えることが大切です。
「待て」はいろんな場面で役立つしつけなので、ぜひ本記事を参考にしてしつけてくださいね😄
参考 : How to Teach your Dog to Stay in 3 Steps Force Free! | Zak George’s Dog Training Revolution
参考 : Learning the Stay Cue | Teacher's Pet With Victoria Stilwell