子犬にとって噛むということは、生きていくうえで必要不可欠である、食べることや排泄すること、そして寝ることなどの次に大切なことです。
そのため、子犬期に噛みグセが激しいからという理由で、噛むこと自体をいけない行為としてやめさせるのは、生きるために必要な手段を奪っていることになります。
ですが人間社会で生きていくうえで噛む行為をそのままにしておくことはできません。
そこで噛むという行為を残しながらも、人間にとって害のないものにする必要があります。
この記事では、子犬期に噛みグセが激しい理由から、噛みグセを正しく直していく方法をお伝えいたします。
子犬の健全な成長のためにもぜひ参考にしてくださいね。
子犬はなぜいろいろなものを噛むの?
子犬にとって噛むことは社会を知るための手段であったり、歯の生え変わり時期の不快感をとる手段だったり、単に遊ぶための手段だったりといろいろな意味を持ちます。
また、その他に噛むという行為には、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」を分泌させる作用があり、精神を安定させる効果もあります。
冒頭でもお伝えした通り、子犬にとって噛むということは、生きていくうえで必要不可欠である、食べることや排泄すること、そして寝ることなどの次に大切なことです。
そのため、噛むこと自体をやめさせるのは、生きるために必要な手段を奪っていると同時に、犬に大きなストレスを与えることにもなります。
- 周りの環境を知るために興味のあるものは何でも噛む
- 歯の生え変わりの時期はいろいろなものを噛む
- 遊びたいたいために噛む
- 噛むことは幸せホルモン「セロトニン」を分泌させ精神的な安定をもたらす
これらの理由を詳しく知ることは、子犬の噛みグセを直すトレーニングをしていくためにも役立ちますので、もう少し詳しくお伝えいたします。
噛む理由1 | 周りの環境を知るために興味のあるものをなんでも噛む
子犬にとって噛むことは周りの世界を知る手段です。
人間の赤ちゃんでも興味のあるものはなんでも口に入れて確かめますね。
それと同じことです。
違うのは、人間は成長するにつれて、手で触れることで周りにあるものが何なのかを学んでいくことができるようになりますが、犬にはできないということです。
犬にとっては噛むこと、そしてにおいをかぐことが自分の周りにあるものがどんなものなのかを知る有効な手段なのです。
そのため、特に子犬期は周りの世界を知るために興味のあるものは噛んで確かめようとします。
子犬が新しい家に慣れてくると、家具やラグ、衣類などいろいろなものを噛むということはよくあります。
これは子犬が新しい世界を知ろうと探索しているからなのです。
また、子犬が飼い主さんの靴下や足先を噛むというのはよく聞く話ですが、興味のあるものを噛むという習性を考えると納得がいきますね。
噛む理由2 | 歯の生え変わりの時期はいろいろなものを噛む
産まれたばかりの犬の赤ちゃんに歯は生えていません。
最初に生えてくるのは乳歯で、一般的に生後3週目~10週目の間ですべての乳歯が生えそろいます。
そして生後12週目~24週目は乳歯から永久歯への生え変わりもっとも見られる時期です。
永久歯に生え変わるこの時期は歯肉にかゆみや多少の痛みを感じるため、子犬はこの不快感をとろうとして近くにあるものを何でも噛もうとします。
子犬にとっては何が噛んで良いものか悪いものなのかという区別はつきません。
そのため、近くにあるものであれば家具であろうと、衣類であろうと、コードなど危険なものであろうとすべてが対象になります。
そのためこの時期は噛んでも良い適切なおもちゃを常に用意しておく必要があります。
噛む理由3 | 遊びたいたいために噛む
子犬は兄弟犬と遊びたいとき、飛びかかったり噛んだりして遊ぼうと誘います。
そして取っ組みあいをしたり、追いかけっこをしたり、お互いに噛みあったりして遊びます。
人間社会に連れてこられたばかりの子犬は人間社会のルールをまだ知りません。
そのため子犬が人間と遊びたいときに、体当たりしたり噛んだりして遊ぼうとするのは当たり前のことなのです。
噛む理由4 | 幸せホルモン「セロトニン」を分泌させ精神的な安定をもたらす
犬がおもちゃを噛むのは精神的にも健康的にもよい影響をもたらします。
それは噛むという行為には、不安やフラストレーション、そして退屈感を抑制する効果があるためです。
人間でもリラックスするためにガムを噛みますが、実際にガムを噛むことは気分を安定させる効果があります。
これはガムを噛むことにより「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されるためです。
セロトニンには自律神経を整えたり、意欲をうながしたり、ストレスを軽減するなどさまざまなプラスの作用があります。
つまり、噛むという行為は犬の精神を安定させる大切な手段のひとつでもあるのです。
噛みグセを直すにはどうすればよいの?
ここまで読んでいただいて、子犬にとって噛むということが生きていくうえで大切な行為であるということが理解していただけたと思います。
また、噛む行為は子犬だけでなく、成犬になってからも必要な行為であるということも理解していただけたと思います。
そのため、噛む行為自体をいけないこととして叱ってやめさせることは、犬にとって生きていくうえで必要な手段を奪っていることになるのです。
ですがもちろん人間社会で一緒に生きていくためには、噛む行為をそのままにしておくことはできません。
そこで犬にとって生きるために必要な噛む行為を残しながらも、人間にとってその行為が害とならないようにする必要があるのです。
アメリカなどのペット先進国では、噛むこと自体をやめさせるのではなく、下記の2つ方法により噛みグセを直すよう犬に教えています。
噛みグセを直す方法1 | 噛む力の加減を教える
噛む力加減を教えるしつけは、噛みグセを直すしつけの1つで、子犬に力を入れずに噛むことを教えいきます。
このトレーニングをおこなった子犬は成犬になってから、恐怖や痛みを感じてとっさに人間を噛んでしまったときでも甘噛みするだけで強く噛むことはありません。
ですがこのトレーニングを受けなかった犬はどのくらいの力で噛むと相手が痛いのかがわからないため、強く噛んでしまう可能性が高くなります。
下記の記事では
- 子犬期に噛む力の加減を教えるのが大切な理由
- トレーニングの開始時期
- トレーニング方法
を解説していますのでぜひご参考ください。
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噛みグセを直す方法2 | 噛んでも良いものと悪いものを教える
犬にとっては噛んでも良いもの (おもちゃなど) と悪いもの (人間や人間の物) の区別はつきません。
そのため、噛んでも良いものと悪いものの区別を教える必要があります。
下記の記事では、子犬が噛んでは悪いものを噛んでしまったときにすぐにやめさせて、噛んでも良いおもちゃを与える方法をご紹介しています。
このトレーニングをおこなっていくことで、噛んでは良いものと悪いものを教えていくことができます。
この区別を教えないでいると、何を噛んでもよいと思ってしまい、成犬の鋭い歯になってからも、子犬の頃と同じように人間や人間の物を噛む可能性があります。
下記の記事では
- トレーニングの開始時期
- トレーニング方法5つ
を解説していますのでぜひご参考ください。
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子犬の噛みグセはいつまで続くの?
一般的に子犬の噛みぐせは生後18ヶ月くらいでおさまってくるといわれています。
ですが、だからといって安心してしまい、子犬期の噛みグセをそのままにしておくと悪いクセがついていくのを放置しておくことになります。
また、噛みグセの程度は犬の性格や環境などにもよるので一概にはいうことができません。
そのため、噛むという行為が人間にとって害とならないように、噛みグセを直すしつけをおこなう必要があります。
噛みグセのトレーニングを行う前に知っておくべき事項
子犬の噛みグセを修正するトレーニングを行う前に、知っておくと役立つ知識をお伝えします。
知っておこう1 | 子犬のエネルギーを散歩で発散させることも大切
子犬は遊びたいというエネルギーに満ちています。
そのためヒマな時間が多いとそのエネルギーが噛むという行為にでてしまいます。
噛みグセを抑えるためには毎日の散歩でエネルギーを発散させてあげることも大切です。
まだワクチン接種が終わってない場合は、抱っこをして外に連れていってあげましょう。
まわりの環境に順応しやすい子犬期にいろいろなものに慣れさせておくことにより、あらゆることに順応に対応できる犬になります。
また、お年寄りや子ども、男性・女性などいろいろな人に触ってもらうことで人間に対する恐怖心がなくなり親しみやすい犬になります。
ですが、嫌がったり怖がったりする場合は、少しずつ慣れさせていくようにしましょう。
知っておこう2 | くわえているおもちゃを強い力で引っ張らない
歯の生え変わりが完了する生後6ヶ月~8ヶ月くらいまでは、犬がくわえているおもちゃを必要以上に強い力で引っ張ることは絶対にしないようにしましょう。
歯の生え変わりの時期は歯がグラグラしていて抜けやすくなっています。
そのため、犬がくわえているおもちゃを強い力で引っ張ってしまうと歯が抜けてしまう恐れがあります。
どうせ抜けるのだから引っ張て抜いてもよいのではと思うかもしれませんが、引っ張って抜いてしまうと歯が途中で折れたり、根っこを傷つけてしまったりする可能性があります。
これは感染症などを招く恐れがあるため、歯は自然に抜けるのに任せるようにしましょう。
また成長過程である子犬期はあごや首もまだしっかりと固定していません。
そのため、衝撃によりダメージを受けやすいので強い力は加えないよう注意が必要です。
知っておこう3 | 常におもちゃを与えられる状況にしておく
子犬がものを噛む状況は常にいきなり起ります。
そのため子犬が何かを噛みだしそうになったらすぐにおもちゃを与えられるように、家のいたる場所に柔らかいおもちゃを用意しておきましょう。
すべてのおもちゃを常に見えるようにしておくと、犬がすぐに飽きてしまうので、いくつかを箱の中に入れておき、数個を外に出しておいて、おもちゃをローテーションするとよいです。
また、可能であれば飼い主さんのポケットに常におもちゃを入れておきましょう。
そうすれば、子犬が飼い主さんを噛もうとしたときに、すぐにおもちゃを子犬の前に示して、おもちゃの方に注意をひくことができます。
下記のおもちゃは小さいので常にポケットに入れておくのに良いです。また、押すとピーピーと鳴る音が子犬の興味を引き付けます。
下記のような大きくて音が鳴るおもちゃも子犬の目に入りやすく気を引きやすいのでおすすめです。
長さは27cm, 45cm, 68cmの3種類あるので、ワンちゃんの大きさに合ったものを選べます。
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知っておこう4 | 古くなったスリッパや衣類をおもちゃとして使用しない
古くなったスリッパや衣類などは子犬の興味をひきやすいため、噛むおもちゃとして与えるのに適しているように思うかもしれません。
ですが、これはスリッパや衣類は噛んでも良いものだという認識を与えてしまう原因となります。
特に、噛みグセを修正するしつけをおこなうさいに、このような物をおもちゃの代わりとして使用するのは避けましょう。
知っておこう5 | 噛みグセをエスカレートさせる行為に気をつけよう
子犬は兄弟犬と遊びたいとき、飛びかかったり噛んだりして遊ぼうと誘います。
ですが、人間にとって噛まれたり体当たりされたりすることは好ましくない行為です。
そのため、犬が噛んだり体当たりしてきたとき、犬を離そうと手で押したり、足早にその場を去ろうとしたりなどの行動をしてしまいがちです。
ですが、このような行動は犬をエスカレートさせる原因となります。
犬は対象が動くと狩猟本能にスイッチが入ります。
また、犬との間にスペースを与えることも狩猟本能にスイッチを入れる原因となります。
そのため犬を離そうと手で押したり、足早にその場を去ろうとしたりする行動は、この両方の原因を満たすことになってしまうのです。
また、大きな声をあげたり怒鳴ったりすることも犬にとってはかまってもらっていると思い、さらに行動をエスカレートさせる場合もあります。
つまり噛まれたとき大げさに反応してしまうと、「噛むとかまってもらえた=もっと噛もう」という構図が犬の中で成り立ってしまうということです。
また、口を閉じようとつかんだり、ぶったりすると、怒られたことによる防衛反応でさらに噛むという行為をする場合もあります。
子犬が遊びたくて飼い主さんを噛んだり体当たりしてきたときは、下記の記事を参考にして対応しましょう。
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知っておこう6 | パピー用あるいはやわらかいおもちゃを与える
永久歯への生え変わりが完了する生後6ヶ月~8ヶ月までは、パピー用あるいはやわらかいおもちゃを与えるようにしましょう。
硬いおもちゃは歯が欠けたりひび割れたりする原因になります。
コングのパピー用はやわらかいゴムでできているため安心して与えることができるのでおすすめです。
また、サイズも犬の大きさに合わせて選ぶことができるので誤飲の心配を防ぐことができます。
パピーコング | |
色 (2種類) | 水色・ピンク |
サイズ (3種類) | XS・ S・ M |
価格 | XS (600円)・ S (650円)・ M (900円) |
まとめ
子犬期に噛みグセが激しい理由・噛みグセを直すしつけをする前に知っておくべき事項を知ったあとは、さっそく噛みグセを直すトレーニングをしていきましょう。
下記の記事では、噛む力の加減を教えるしつけ方法を解説しています。
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参考: Puppy Biting: Why Do Puppies Bite and How Can You Stop It? | PetMD
参考: How to Stop Puppy Biting and Train Bite Inhibition | American Kennel Club